2025年7月22日火曜日

スティーブンスの日本旅行記 パート2-23

 スティーブンスの日本旅行記 パート2-23

3人の若い生徒は、まるで『ミカド』の「三人官女」のように一列に並び、先生の説明に納得してクスクス笑っている。とても可愛らしい3人の女の子で、そのうち2人はアメリカで最も人気のヘアスタイルで髪を束ねている。

生徒たちは甘いお菓子とお茶を楽しみ、帰る前に、私が翌朝に学校を訪問し、「ボニー・ドゥーン」と「蛍の光」の歌を聞く代わりに、校舎の敷地内でダルマ自転車に乗るという約束をした。「蛍の光」は「オールド・ラング・サイン」のメロディーで歌われており、その日本語の歌詞は琵琶湖近くの宇治の茶畑の伝説を記念したものであると云う。伝説によると、ある学者たちが宇治近くの人里離れた場所で学問を続けるためにやってきた。ある時、油が切れて部屋の明かりを調達することができなかったが、無数の蛍がやって来て、小さな明かりでその場所を照らした。

「学校の3人の生徒」との約束は、翌朝、最寄りの道から少し遠回りして街へ向かった。しかし、この寄り道は十分に報われた。約束されている歌やオルガン演奏以外にも、学校には多くの研究科があり、非常に興味深い。東京市場向けのレースや刺繍、自分たち用や販売用のドレスを少女たちが作り、その収益は学校の維持費に充てられる。この地で最も興味深い学問の一つは、「日本の儀式」と呼ばれるものである。これは、天皇陛下のためにお茶を点てるという、古くからの宮廷儀式を今も受け継いでいるようである。儀式を見学したいと申し出ると、いつもの襖で仕切られた小さな部屋に案内された。一組の少女たちが一列にひざまずき、小さな火鉢の横に座る。とてもきちんとした身なりの老婦人と向かい合っている。老婦人は教師である。彼女が手を叩くと、障子の一枚が静かに開き、先生の一人が小さな漆塗りの盆に小さな急須と湯呑、茶筒、その他様々な道具を持って登場する。この「儀式」には実はほとんど何もなく、茶を点てる人の優雅な動きこそが、このパフォーマンスの魅力である。使用されるお茶は細かく挽かれた宇治の抹茶で、帝の御家のために特別に栽培されている。


261頁

「大日本物産図会 宇治茶製之図 二」
歌川広重(三代)明治10年
国会図書館所蔵資料
以下同じ

宇治茶の看板
左下の自転車にも注目
「宇治茶のかほり」
大正12年

宇治茶産地略図
同上

抹茶臼ノ図
「日本山海名物圖會」 二
江戸中期