スティーブンスの日本旅行記 パート2-24
茶葉の粉末を、シェービングブラシによく似た、奇妙に割れた竹製のミキサー(註、茶筅)で熱湯と混ぜる。その結果、香り高いお茶が出来上がり、鼻腔には心地よいが、ヨーロッパ人の味覚にはほとんど受け入れられない。
昨日の人力車のおじさんは、郵便配達員の様に「ホーン、ホーン、ホーン!」と叫びながら、道を開けながら、私より先に進んでいく。彼が群衆を切り開き、私が後を追うように進む。その間も6マイルのペースを保ち、風車のように腕を振り回しているのを見ると、まるで私が車輪の上で忠実な侍を従え、本物の大名のように思えるかもしれない。
京都からは、日本で最も有名な街道である東海道が始まる。この道は、何世紀にもわたって今日と同じように、偉大な街道であったと言われている。京都から東京まで、325マイルにわたって伸びている。
東海道とは対照的に、中山道と呼ばれる別の道も、古都と新都を結んでいる。しかし、中山道は東海道よりもやや長いだけでなく、起伏が多く、面白みに欠ける。
京都を出た後、東海道は丘陵地帯を通る低い峠を越えて、琵琶湖として知られる美しい湖畔の大津へと続いている。
この湖はレマン湖とほぼ同じ大きさで、その美しさにおいてスイスの宝石に匹敵する。自然の美しさを深く理解する日本人は、琵琶湖にうっとりする。「琵琶湖の八景」はよく語られる。この八つの美とは「石山秋月、勢多(瀬田)夕照、粟津晴嵐 、矢橋帰帆 、三井晩鐘 、唐崎夜雨 、堅田落雁 、比良暮雪 」である。これらはすべて、湖周辺の名所である。琵琶湖の水には、様々な伝説やロマンが語り継がれている。琵琶湖の起源は、紀元前数世紀に起きた地震によるものとされ、伝説によれば、湖が形成されたと同時に、富士山が駿河平野から雄大な姿で現れたとされている。
多くの寺社があり、遠方から多くの参拝客が訪れ、その美しさを拝観する。観光客にとって特に興味深いのは、枝が水平に伸びた見事な松の木である。(註、唐崎の松)