2009年4月12日日曜日

モハン号

 このブログでも前に取り上げましたが、モハン号について少し書いてみたいと思います。
 鳥山新一氏の書いた本や雑誌の記事にありますモハン号の写真を拡大鏡でよく見ますと、同じものではないことが分かります。モハン号の特徴としましては、チェーンホイールの伝達構造と折畳小径車であることです。特にこのチェーンホイールの位置は若干ずれていますが左右それぞれに付いていることです。細部の構造は写真でよく分かりませんが、ギヤ比による変速か、或はギヤ比の拡張のために左右にそれぞれ付いているのではないかと思われます。
 この仕組みなどは書いてありませんが、雑誌「工芸ニュース」所収の文中に簡単ですが次のようにあります。

唯戦後一時騒がれた折畳式の自転車は8年ごろ前輪14in、後輪16inのモハン号(図8)が鈴木商会から市販され、後に改良型をだしたが筆者も長年2種類共使用した。

 どうやらモハン号のⅡ型とその改良型の2種類を鳥山氏は所有していたようです。旧型(Ⅰ型)は婦人車をそのまま小さくした形と図8の注書きにあります。ですからモハン号は全部で3種類製造販売されたことになります。 
 昭和8年から昭和9年頃にかけて鈴木商会で製作されたようです。鈴木商会の履歴や所在地はいまのところ不明です。

参考資料:
「すばらしい自転車」鳥山新一著(日本放送出版協会版、1975年01月発行

「工芸ニュース」5月号 第23号 昭和30年5月5日発行
 (わが国自転車のデザインとその変遷 鳥山新一)

当ブログ 2009年3月5日 コンパクト自転車