この写真は雑誌「モーター」(大正9年11月号 第88号)の表紙に掲載されているものです。
そしてキャプションには次のように書いてあります。
この写真中に見える二輪車は世界最初の自転車にして何人が作ったか製作者は不明であるが1720年時代に製作されたることだけは明かである。現にフランスのバーヤータン・クラマンテン博物館に珍物として蔵したる。
ドイツのカール・フォン・ドライス男爵が考案したドライジーネは1817年ですから、それよりも古いことになります。どこから1720年という年号が出てきたのか分かりませんが、極めて怪しげな年代設定です。それに写真にある自転車もこれまた怪しげな自転車です。時々似たような自転車を本や雑誌で見ますが、恐らくドライジーネを模倣して木馬のように動物の顔を先端につけた玩具的乗物の一種ではないでしょうか、以前セレリフェール(現在、この説はジャック・スレーによって否定されています)と呼ばれていた自転車の一つだと思います。