2021年1月12日火曜日

大正期の写真

 先日、自転車散歩で小田原の「ういろう」の前を通過した。
そういえば「ういろう」の店舗前の大正期の写真があったことを思い出す。

「ういろう」は小田原でも数ある店の中でも一番の老舗で、かれこれ創業から650年続いているといわれている。
江戸期の浮世絵や市川団十郎の歌舞伎の外郎売りなどでも有名である。

下の写真は大正初期のもので、店舗は八棟造りと言われる日本の建築様式の一つ。店前には自転車が2台見える。店員や丁稚と思われる人物が自転車のハンドルを握っている。ハンドルをよく見ると逆向きにしている。このようにドロップハンドルを上向にしている方が、通常の使用時には楽だったのか、それともこの時期の流行りなのであろう。羽織を着た若旦那のような人物も見える。右手に扇子を持っている。大正期に入ると自転車は主に使用人が乗り、羽振りの良い店主は人力車やその後は自動車を利用するようになる。自転車に乗ることはもはやステータスではなくなったのである。

残念ながらこの建物も大正12年9月1日の関東大震災で倒壊してしまった。

大正初期の「ういろう」

大正初期の絵葉書

江戸時代の外郎
当時の建物の様子がわかる
東海道名所圖會 6巻-5 龝里籬嶌 編
寛政9(1797年)出版
国会図書館所蔵

現在の「ういろう」
いまでも伝統の八棟造りの建物