2021年1月2日土曜日

自転車日記③

 この自転車日記は、順序をまったく無視している。気の向いたときに昔の手帳を取り出しては眺めている。10年前に戻ったり、20年も急に進んだりするから、そのつもりで見ていただきたい。本当は暦通り進めたいのであるが、メモ帳が100冊以上あり、いまとなっては困難である。たぶんつまらないし自転車文化史に何の役にも立たない記事である。

今日の自転車日記は、前回より急に20年近くさかのぼることになる。

 1974年5月18日(土)晴れ
横浜は光化学スモッグ。
●川崎のオオノ商会へ。
ユッチンソンのチューブラータイヤ、ニップルレンチ、チューブラー・パンク修理セット、ニューサイクリング誌の最新号を購入。
ちょっと気になるメルシェの自転車があった。価格は67000円、その他、チネリ、ラレー・ヨーロッパ等が陳列されていた。ビアンキもレニアーノも見ると欲しくなる。
デローザは高値の華、チェーンホイール(カンパ)、サドル(ユニカ)、リム(ニジー)、ブレーキ(カンパ)、バーとステム(チネリ)、タイヤ(クレメン)、フレーム(コロンバス)など。
ゴルナゴは、カンパのフルセット、ステム(チネリ)、サドル(ユニカ)、チェーン(レジナ)など。これも高値の華、ただ眺めるだけ。

●「自転車実用便覧」自転車産業振興協会、2500円をベロ出版に注文する。

●リムの振れ取をするが、思うように調整できない。10年の年季が必要と某氏に言われた。

 1974年5月19日(日)晴れ
●ラレー・カールトンで藤沢市の本鵠沼近くの「秋山サイクル」へ行く。
店内にはデローサ、チネリ、ラレー・マークⅣ、ゼウス、メルシェ、プジョーなどが置いてあった。オレンジ入りのデローサは、これ見よがしに、入って右側の壁に掛けられていた。価格は30万円。ただ眺めるだけ。
横浜のシマダや金沢文庫の木下よりも世界の有名レーサーが置いてある感じがした。
店主が私のラレー・カールトンを見て「あんたのカールトンはホイールベースが1メートル以上あるのでよくない。コーナーリングなどでハンドルの切れが悪い。あそこにあるデローサなどを見てみなさい。みんなホイールベースは1メートル以下である。だからうちではこのような自転車は置いていない。カールトンはラレーに吸収されてから一般的になってしまった。まだプジョーの方がいい」こうまで言われると反論したくなるが「ああそうですか」と、生返事をしておいた。
いろいろな自転車店を多く回っていると、店主の性格もわかり、なかなか面白い。
この店主もある面親切なのかもしれない。初心者には向いていると思う。
このラレー・カールトンは木下で購入したのであるが、乗り心地がよく気にいっていた。ホイールベースやトップチューブは多少長めだが、直進安定性が非常によく、長く乗っていてもあまり疲れなかった。競技向きではないが、よい自転車である。
ご高説を聞いた後、この店で自転車油、ベアリング・グリス、ソービッツのダイナモランプを購入する。

 いままで3流品ばかり買っていたが、ここらでチネリかデローサ、ゴルナゴあたりの高級車を入手したいものである。だが先立つものがない。

お気に入りだったラレー・カールトン

車籍カード 1974年5月2日