2021年1月18日月曜日

石版画のダルマ自転車

 下の図は、以前に自転車技術史研究家の梶原利夫氏から頂いた資料である。

「明治大正図誌」(関東)に載っていたもの。
石版画(せきばんが)とは、石版で刷られた版画で、リトグラフとも云う。

この図は明治24年印刷の石版画で「東京上野停車場」である。
左下にダルマ自転車に乗った人物が見える。

日本で一時的にダルマ自転車が流行した時期は、明治21年~明治26年頃までの短い期間であった。明治25年頃から輸入された安全型自転車が現れると、数年の間で巷から徐々に消えて行った。このことから逆に、現存する実車や写真、画に登場するダルマ自転車の年代をある程度まで特定することができるのである。

話は少し戻るが、「ダルマ自転車が流行」と書いたが、はたして流行とはどの程度をいうのであろうか、台数的にも資料がないので、正直よく分からない。全国的にみても数千台ではないかと推量している。自転車はまだこの時期は希薄であった。

東京上野停車場
「明治大正図誌」(関東)筑摩書房 1978年より

参考までに錦絵の「東京名所上野停車場之図」も載せる。ただし、汽車、鉄道馬車、人力車、馬車、荷車は見えるが残念ながら自転車は描かれていない。
作者の探景は「東京小網町鎧橋通吾妻亭」明治21年(1888)では、リアルにダルマ自転車を描いている。

東京名所上野停車場之図
明治22年3月 1889年
探景画

東京小網町鎧橋通吾妻亭
井上探景
明治21年(1888)