忘れたころに大地震は発生する。
近いところでは、東北地方太平洋沖地震や兵庫県南部地震など、まだ記憶に新しい、それ以外にも大きな災害をもたらした地震は多い。
下の記事は輪史会の会報「自轉車」第10号、昭和58年7月15日発行より。(一部修正)
地震と自転車
東海地震はいつ起こるのであろうか。はたして地震予知は可能なのか。昨年の12月未から今年の1月にかけて、伊豆大島近海では無気味な群発地震が続いた。
そして、2月27 日には東京、横浜で震度4の地震が発生し、新幹線や首都圏の国電が一時ストップした。気象庁では、これらの地震は直接東海地震との関連はないと言っているが、何んとなく不安が残る。巨大に発達した都市での災害は、我々の想像をはるかに越えるものであろう。
昭和 55年8月、静岡市内の地下街でガス爆発があり、多数の犠牲者を出したことは、まだ記憶に新しい。地震の二次災害を考えたとき、恐らく都市のほとんどは壊滅状態になるに違いない。あらゆる交通機関は寸断され、破壊され単なる瓦礫の山と化すであろう。
大正12年 9月1日、関東地方を襲った大地震はマグニチュード7.9という巨大なエネルギーを放出した。死者は10万人、全滅または倒壊した家屋は 50万戸にものぼった。
ところで、この地震の際、思いがけなくも威力を発揮したものに自転車があったということは余り耳にしないかもしれない。
渡辺承策著"自転車の経済と其活用”大正14年発行によれば、
「此時唯一つ彼等を助けて偉大なる効験を実地に表した文明の利器があった。それは即ち自転車である。自動車はあってもガソリンが無くなっては最早無用の長物である。自転車のみは身軽に何等の助けをも借りずに障害物の多い道をも燕の様に飛び回って交通通信の連絡を完全につとめたのである。之れを以って見るに、自転車は平時に於ける経済的生活の必要機関たるのみにあらず、亦非常の際に於ける活動機関として備付けて置かねばならぬものなることが明らかである。」
はたして60年前に威力を発揮したという自転車が、現在の複雑化した社会での災害にそのまま当てはまるかどうかは疑問だが、他の交通機関である自動車や電車などと比較して考えた場合、その可能性は十分あるのではないかと思われる。
はたして60年前に威力を発揮したという自転車が、現在の複雑化した社会での災害にそのまま当てはまるかどうかは疑問だが、他の交通機関である自動車や電車などと比較して考えた場合、その可能性は十分あるのではないかと思われる。
防災グッズと伴に、是非自転車も非常用に備えておいてはいかがであろうか。
震災後の東京・京橋通り
右側に自転車に乗る人物がみえる