2021年7月14日水曜日

自転車関係資料㉗

自転車関係資料㉗

この資料は科学雑誌「自然」1947年3月号の一部である。

三菱十字号に関する数少ない資料の一つ。

このコピー資料は平成4年5月15日に自転車技術史研究家の梶原利夫氏が、村田さん(財、自転車産業振興協会、元生産技術部長の村田兼房氏)から入手したもので、それを私にお裾分け的に梶原氏より頂戴したものである。

タイトルは「自転車の強度 -強度計算の考え方ー」三菱重工技術師 本庄季郎(2頁~11頁)であり。内容は専門的で難しい。さしあたり図表や写真を眺めて欲しい。

以下に項目10と結びの部分を抜粋する。

10、軽合金板製自轉車
十字號の構造
今まで述べたところによつて、従来の自轉車の代表として選んだ商工省規格一般用自轉車の強度がわかったので、次に新しい構造の超合金製自轉車の強度をしらべることにする。それにはまず軽合金製自轉車十字號の構造と、その構成材の寸度および材質を知らなければならない。
第5図は、その骨格であるが、従来の自轉車の骨格と比較するために、点線で一般用自轉車の骨格を重ねて描いておいた。
車体は従来の自轉車の菱形構造のかわりに、十文字に交わる丈夫なアルミニウム軽合金材の箱形材と、同材の円管とからなる。箱形材はヘッド・ベヤリングから後車輪軸を一直線に結び、その前方は左右の軽合金板折曲げ材の上下に板をあてて鋲留めして箱形断面を形成し、後端は2本に分かれてその間に後車輪を収めている。
円管は上部にサドルを支え下部にハンガー・ベヤリングを支えている。
前フォークは2本の軽合金板製チャンネル材からなり前車輪軸からハンドルまで延びている。この前フォークの途中に2枚の鋼板製の軸受取付金具が鋲留めされ、この取付金具の孔を通るボルトによつてヘッド・ベヤリングに取付けられる。各構成材の断面の寸法を述べなければならないが、複雑であるから省略する。

15.結び
以上で大体一般用自轉車と十字號自轉車の強度計算の考えかたと、その計算結果とを述べたが、途中にもっとも骨の折れる計算過程を全部省略した。これらの計算のうち從來形式の自轉車についての計算はすでに渡邊泰男君の論文が日本科学文化協会雑誌創刊号および三菱重工業株式會社技術部発行の技術調査報告第56号に掲載されているし、十字號計算は三菱重工技術部報告第62号に発表してあるから、さらに進んで計算過程をしらべたい方は、これらを参照されたい。
(三菱重工業技師)


科学雑誌「自然」1947年3月号
目次

9、10頁

第5図 9頁上

11頁