西蔵と自轉車
先日、青木文教の『西蔵遊記 秘密之国』内外出版、1920年(大正9)を読んでいたら、自轉車という文字が目に留まった。
その182頁に、
・・・昔から車の交通がないところで、往来は歩行でなければ馬か騾馬を用ふる。最近漸く数台の自転車と驢馬車が貨物を運搬して居るのを見るばかりである。其上何れの街路もひどい凸凹で、雨季になると泥濘と溜り水に満ち、乗馬でなければとても通行できない。
とあり、チベットでの自転車利用の実態を読み取ることが出来る。因みにGoogleストリートビューで最近の様子を見ようとしたら、中国国内同様見ることが出来なかった。当然かもしれない。
青木文教がチベットに滞在したのは1912年(大正元)から1915年(大正4)で、その間に自転車を目撃している。チベットに最初に自転車が持ち込まれたのか定かではないがいずれにしてもその気候風土地形から言って、かなり遅かったのではないかと推察する。この記事が一つの目安になるのかもしれない。