2021年7月29日木曜日

自転車関係資料㉚

  自転車関係資料㉚

下の資料は「科学世界」第6巻第2号、大正元年10月1日発行の水陸両用自転車の記事である。

●水陸両用の自轉車
米国カリフォルニア州オークランドの一發明家は近頃自ら水上自動自轉車と命名せし一種の新水陸両用自轉車を發明したが、發明家の言に依れば此自轉車は陸上を一時間二十哩、水上を一時間十五哩の速力にて走ると云ふ、自轉車には二個の独木舟型の金属製浮す (各長さ十四尺幅十六吋)が設備せられ、此浮子は各三個の空気の漏れざる室より成るのであって、軽き鋼鉄管の骨を以て車体に連結されてある、陸上を走る時は二個の浮子は互に平衡を保っ様に二っに折畳んで車体の両側に吊されたる儘車輛の力によって動くのであるが、自轉車を水上にて用ひんとする時は、二個の浮子は畳み目より左右に開かれ、簡単なる方法に依って水上に浮ぶ樣に車の台となり車輪は不要となるのである又使用の必要なき時座席の後部に置かるる推進機は車体を動かす為めに水上に下ろされる、推進機は三個の十二寸刄をもっている、浮子の両側には一個づつの楫があって、各楫は車のハンドルによって操縦される、此自轉車の總重量は五十一貫目、其內二十七貫目は浮子、發動機等其他の車体附屬品の重量である、此自轉車の完成あらば偉大なる近世の発明と云うべきである。

この記事には見ての通り写真やイラストはない。参考までに日本自転車史研究会の会報の記事を下に載せる。これらの写真を眺めながらどのような水陸両用自転車であったのか想像して欲しい。

「科学世界」大正元年10月1日発行
105頁

頁全体

表紙

会報”自轉車”№27 1986年5月15日発行
「空とぶ自転車と水上自転車」より

同上