2020年9月20日日曜日

シンガー型三元車

 シンガー型三元車に類似する三輪車を探してみた。
以下の写真やイラストが資料の中から出てきた。
何れも形状も駆動方式も酷似している。
前輪が並列の小径2輪で後輪は駆動輪。搭乗者は足でペダルを踏みクランクシャフトを介して大きい後輪を回転させる。2輪の前輪はステアリングも兼ねていてハンドルグリップを左右に動かすことにより進行方向を変える。サドルの下部は路面からの衝撃を吸収する板状のスプリングやコイル状のバネが付いている。これである程度の乗り心地の良さは確保できたはずである。
しかし平地はともかく少し登り坂になれば、踏み込む足に急激な負担がかかり疲労困憊になったはずで、このような三輪車がその後も普及しなかった最大の原因は登坂力の問題であった。

下の写真と図の説明、
①、②、➅は何れもシンガー製である。➅が最終の完成型。
①と②は殆ど同じで、サドルの背もたれまでそっくりである。違いといえば後輪のフレームの幅であるが、それはイラスト描写の違いである。
③④は、形状の違い(クランクシャフトがワイヤーなど)はあるもののシンガーに似ている。シンガーがダブリンに似ていると言った方がよいかもしれない、年代的にもダブリンが2年早い。⑤の三元車と⑦も同様である。



①チャレンジ三輪車  1878年頃
キャンベラ自転車博物館所蔵資料

②シンガー三輪車 
コベントリーのシンガー・アンド・カンパニー製
Scientific American誌 1878年3月30日 201頁

③ダブリン三輪車 1876年 ロンドン科学博物館

④上と同じ三輪車のイラスト

⑤シンガー型三元車 1883年頃
写真提供:自転車文化センター
現在はトヨタ産業技術記念館所蔵

➅シンガー三輪車 1879年頃
写真提供:オランダのトムさん

⑦エルラッハ三輪車 1878年頃