2020年9月4日金曜日

軍用自転車

 日本で自転車が軍隊で使用された記録は明治25年頃からである。

1892年(明治25年)7月28日 郵便報知に、
憲兵隊で馬の代わりに自転車を使用
憲兵司令部に於いては、乗馬に換えて自転車を用いることに決し、本年春以来もっぱら練習せしめ居りしが、この頃大阪、名古屋、広島、仙台、熊本の各憲兵隊へ練習用三台、上等自転車二台、都合五台を配布し、目下各隊とも練習中なりと云う。ちなみに記す。熊本、広島の両憲兵隊に於いては、本年度補欠員募集のため、各所在地師団兵卒より試験の上採用するはずなり。

下の資料は明治30年11月1日発行の「少年世界」である。
アメリカの自転車部隊が長距離行軍をしたことと、その兵員組織、自転車部隊の装備などが記されている。(OCRで読み込む、一部読み取れない漢字などがあり、カタカナに、例、ポンド、テント、走行距離と体重は、メートルとグラムを括弧書きで挿入)

それにしても、6000㎞とは驚嘆すべき距離である。因みにアメリカ大陸横断、ニューヨークからロサンゼルスまで約4000㎞である。一体何日間の行軍だったのであろうか。1日、100㎞で60日間、このあたりであろうか?
あまり参考にはならないが、先月、日本の青年が鹿児島の佐多岬から北海道の宗谷岬まで2600㎞を6日と13時間28分(ギネス記録1日以上更新)で走破したのというニュースがあった。

●軍用自転車

米國歩兵第二十五自転車隊は先日三千八百哩(6100㎞)間の行軍を行いたるが斯る長途の行軍は之を以て嚆矢とす、蓋しその間は崎くたる山岳ありて練習の為には最も屈強の道筋なるが故に特に此路を選びたるならん、此隊は総員二十二人即ち隊長一名軍医一名軍曹一名、伍長二人、喇叭手一人、兵卒十六人にして年齢平均二十七體量平均百四十八ポンド半(70kg)なり、而して其乗用の自轉車は此目的の為特に製造したるものにて、毛布、テント、手布、包丁、匙、肉さし、水吞、錫皿を初め食料を携帯す、故にその総量は五十五ポンド(25kg)程なりと言う、 図に示したる自転車は即ち是なり。

明治30年11月1日発行の「少年世界」