2020年9月1日火曜日

フランス双輪物語

 今年のツール・ド・フランスは、コロナ禍で開催が危ぶまれていたが、どうにか2か月遅れで開催にこぎつけた。関係者の努力のたまものと言ってよい。同時に100年以上も続く、フランスの自転車文化をコロナのために負けたくないというフランス国民の意地と底力のようなものを感じさせてくれた。
今年で第107回目を迎えるツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、2020年8月29日~2020年9月20で開催される。

このブログの表題、フランス双輪物語とは昭和14年10月10日発行の「第三フランス通信」瀧澤敬一著にあるサブタイトルである。270頁~272頁に第32回のツール・ド・フランスのもようなどが書かれている。コース地図も載っており、次のようにある。
第32回フランス全国一周競走地図、距離4684㎞、期間1938年7月5日より31日まで 選手96名
(その内容を一部抜粋)
・・・カフェーや自転車屋の店頭には毎夕結果を貼出す所が多い。各日順位、総合順位、国別順位とあってこの総合順位は毎日の走行時間を一秒の十分の一までの単位で合計し、その数字の少いほど優位にある。
一番が黄色のシャツを着る権利があるので、最後の日(普通日曜日の午後にしてある)これを着て巴里の Parc des Princes に乗込んだ者(この勝敗は數日前から決して居て決勝點で黄色シャツを奪はれた前例はない)が一等となり、花束を貰ってスタヂウムを一回御礼廻りする習慣がある。
この Maillot Jaune なる文句はこれから転じて色々に使われる。
今年はベルギー人 Silber Maes が一着で、賞金は五萬法であるが、其後各地の競走への出場料が一回五千法の相場で、夏場を稼ぐと優に二十萬法位の収入にはなる。且つ本人はカフェーを経営して居るので、千客万来、ビールの売上高が1日5百リットルに達したという・・・

(注、第32回はジーノ・バルタリ が総合優勝、第33回がシルベール・マースである)

当たり前だが、ほとんど今と変わらない盛況ぶりとその情景を連想させてくれる。ただし、現代はネット社会、毎日居ながらにしてTwitterなどからほぼリアルタイムで最新の映像とニュースを享受できる。

現役を退くと自転車屋を開業するものが多く、有名なマークには旧大選手の名がちょいちょいある。

この文章からすぐにエディ・メルクスとその自転車を連想した。

第32回のコース地図