2021年12月31日金曜日

古い絵葉書-5

 古い絵葉書-5

この絵葉書は東京名所の鎧橋である。

鎧橋は、1888年(明治21年)に近代的なトラス構造の橋にかけ替えられた。

1915年(大正4年)には、拡幅工事も行われ、路面電車が走るようになった。この絵葉書はその頃のものと思われる。

人力車3台、自転車2台、大八車1台、それに路面電車が見える。

東京名所 鎧橋 大正5年頃

東京ガイド 大正5年

東京名勝独案内 明治23年4月

東京小網町鎧橋通吾妻亭
井上探景
明治21年(1888)

2021年12月30日木曜日

古い絵葉書-4

 古い絵葉書-4

下は年賀はがき。中林両替店から大分県下宇佐郡八幡村 長岡三郎 殿に宛てたもの。

生憎、年度が分からない。自転車からの推定では大正5年前後と思われる。

下の新聞記事は、大正6年7月14日付けの東京日日新聞から、

・・・因に中林氏は明治二十一年両替商を営み・・・

とある。

年賀はがきの宛名面にも明治21年創業と書いてある。

自転車は2台見える。荷台も両立スタンドも無い。右の奥にはサイクルスタンドが置かれている。中央には人力車もあり、幟には朝鮮京南鉄道株式売出と書いてある。

中林両替店

宛名側

大正6年7月14日付けの東京日日新聞、
世界最古の安質母尼鉱山 株式会社市之川鉱業所(一部)

・・・而して同社は増資株中六千株(三十万円)を神戸市相生町四丁目公債株式現物商中林両替店に託して十二日より十六日迄の間にプレミアム一株拾円以上を以て公募する事となれり。

因に中林氏は明治二十一年両替商を営み爾来所有万難を排し時代の推運と共に現今株式現物問屋、ビルブローカーを開始せるが欧洲戦乱以来船株等にて多大の富を造り今や一族相謀り合資組織にて阪神間青木附近に広大の地所を買収し、中林土地合資会社を創立して住宅地経営事業をも創始すべく計画中なるが同店の信用は今や関西同業者中屈指の者たり

神戸大学附属図書館 新聞記事文庫より


2021年12月29日水曜日

バックナンバー 115

 バックナンバー 115

ニュースレター(NEWSLETTER)NO.115

2001年8月26日作成 日本自転車史研究会

●車いす歴史博物館
横浜市総合リハビリテーションセンターの関係者を中心に「車いす歴史博物館」を作ろうという運動が 広がっている。車いすに関する情報等何でも設立準備室に送って欲しいとのこと。 

そう言えば、シマノが発行した「クラシック自転車写真集」に2点ほど障がい者用の三輪車が載っていた。

●なぜシンガー三輪車にこだわるか
私はローソンの最初のセーフティー自転車に関する特許資料を持っています。 なぜ、私がシンガー三輪車(1879)に興味があるかと言いますと、シンガーは自転車では成功しなかったが、ミシンにより有名な会社になったからです。 自転車でのクランクシャフトの駆動機構はスピードの点で、チェーンドライブに敵わなかったが、その機構はミシンで成功しました。 私は機械技師でいくつかの特許を持っています。エアーバスやサーブに安全装置の部品を供給しています。そのような訳で、シンガーミシンと、この三輪車に大変興味を持つようになりました。 このローソンの特許により、シンガーは有力会社として生き残ることができました。 第2次大戦後、アムステルダムにいた多くの日本人はこのシンガーミシンの取引で金儲けしました。 私は以前アムステルダムに住んでいました。 私はナイメヘンのベロラマ自転車博物館で、1884年のアポロ・シンガー・コベントリーを見て感動しましたが、自分でも1879年のシンガー三輪車の複製を作りたいと強く思うようになりました。私はどうしてもローソンの特許で作られたシンガー三輪車を自分の手で複製したいのです。
 (オランダのT.Kさんより)

●国会図書館ネットでコピー受付
国立国会図書館は10月から、約750万冊ある蔵書のコピー・サービスをインターネットで受付ける。
http://www.ndl.go.jp/

ホームページにアクセスし、書籍名や著者名を入力。 郵送料とコピー代は1枚30円~250円。用紙の大きさにより代金が異なる。支払いは最寄の金融機関から送金する。

●シンガー三輪車の車輪サイズ?
シンガー三輪車の前後車輪サイズが分かったら、教えてほしい。

事務局:正確には分かりません。明治16年、ジャーナリストの宮武外骨が、このシンガー三輪車に実際 乗っている。彼の言葉の中で、「其の自転車は現今の如きものにあらず、ゴム輪なれども古式の三輪車にて大いなる一輪は直径五尺余あり瓦斯灯二個付きの大物なりし、」 1尺は11インチなので、多分この文章から推測すると大きいほうの後輪は50インチでは ないかと思う。実際にその三輪車が保存してある博物館を訪ねたらどうか。それに、すべてのシンガー三輪車の車輪サイズが同じであったか確認する必要もある。オーディナリーのように様々のサイズがなかったかどうか?

シンガー三輪車
オランダのトムさん撮影

2021年12月28日火曜日

古い絵葉書-3

 古い絵葉書-3

この絵葉書は近江の粟津松原である。

木曽義仲の終焉の地として知られている。

『平家物語』

「あれに見え候ふは、粟津の松原と申し候、君はあの松の中へ入らせ給いて静かにご自害候へ」

左側に自転車が見える。荷台と後ろ泥除けに大きな鑑札がある。自転車からの年代推定は昭和初期ということになりそうだ。

近江八景 粟津の晴嵐
昭和初期

粟津松原
滋賀県写真帖 明治43年
国会図書館所蔵資料 コマ番号26

平家物語 12巻ー9 元和年間
国会図書館所蔵資料 コマ番号15

2021年12月27日月曜日

バックナンバー 114

 バックナンバー 114

ニュースレター(NEWSLETTER)NO.114

2001年8月25日作成 日本自転車史研究会

●流山と自転車
先日、千葉県流山市の市立博物館で開催されている 「流山と自転車」という企画展を見に行きました。 展示してあった自転車の大半は自転車文化センターの所有品だったり へッドマークや風きり等はKさんのコレクションだったのですが 、大正から昭和にかけて地元にあった自転車倶楽部の話しや地元の人からの自転車に関しての聞き取り調査を載せてあったりして、一市町村で行なった企画展としては大変面白かったです。 図録も何冊か買って友人にあげました。わたしも自転車に関心を持っている一人として地元の自転車の歴史の事を調べておこうと思いました。 (自転車工房いのうえ)

●啓蟄の会
第12回「啓蟄の会」が、9月22日~24日まで、千葉県の 鋸南町・アートプレイス AKU AKU で開催。 今回のメインテーマは「R.Herseに関する世界唯一のもの?」。いつものように参加者の愛車を施設にある写真スタジオで撮影できる。

●トーマス・スチーブンス
下記について質問します。N生
①オーディナリー型で世界一周したトーマス・スチーブンスの項、とても興味深かったのですが、彼の写真、あるいは肖像画等はあるのでしょうか?御所有、又は出所等を御存知であればお教え頂けないでしょうか?

②トーマス・スチーブンスのおおよその行程は貴研究会のHPで充分分かるのですが、コンスタンチノーブル(イスタンブール)~カルカッタ~広東~は海路でしょうか?

③トーマス・スチーブンスのこの冒険は、オークランド1884年4月22日出発~1886年12月17日到着まで約1年8ヶ月という事でよろしいでしょうか?

事務局:①彼の写真はあります。何れも書籍と雑誌ですが、5点ほどあります。 ②この区間の行程は海路です。③そのようです。

●小径折り畳みの原点
ポーターシルクは、片倉シルクが、志村精機のパピー号のパテントを引き継いで生産したものである。その折畳まれた小ささは驚異的で、とても50年前のデザインとは思えない。設計者の横巻氏はこの自転車を、自らの通勤にも使ったという。その後、横巻氏は、創生期に本田技研にも深くかかわったが、惜しくも、若くしてドイツで客死された。小径折り畳み自転車が、他でもない日本で生まれ、しかも通勤用という、きわめて都会的な発想で、50年も前に考えられたということに、一種驚きを禁じえない。横巻氏の先見性は、やはり天才そのものだ。(マンスリー・エム7月号、K氏の記述より)

2021年12月26日日曜日

古い絵葉書-2

 古い絵葉書-2

この絵葉書は会津名蹟、飯盛山白虎隊墳墓霊地の入り口。

右端に自転車が車輪の一部を含め3台見える。公設人力車駐車場の標柱もある。

全体がハッキリ見える自転車には荷台とスタンドもある。トップチューブは幅広のプレート状フレームに透かしが入っているようである。この意匠は以前どこかで見たような気がする。いまは思い出せない。ことによると舶来車かも知れない。自転車の形態からの年代推定は大正後期と思われる。

白虎隊墳墓霊地の入り口
大正後期

2021年12月25日土曜日

老舗さんぽ-51

 老舗さんぽ-51

今回の「老舗さんぽ」も神奈川県足柄上郡松田町の自転車店巡り。

先の鍵和田自転車を探索中に丸光自転車店が現在も営業していることを知り、自転車散歩の途中で立ち寄ることにした。この店も創業は古く大正10年前後と思われた。現在の店主は二代目と言っていたが、実際は初代小野光助さんの実兄が同じ場所で大正期に始めていたので、直系ではないが、現店主は三代目になる。

創業者、小野千太郎さん(光助さんの実兄)→小野光助さん→現店主(勝弘さん)

暖簾の「丸光」は、光助さんの名前から採用。名鑑では光蔵さんになっている。

大正・昭和初期の松田町には自転車店が11店舗あったが、現在は丸光自転車店だけになってしまった。

①松田惣領 鍵和田瀬吉

②松田町南通 鍵和田末吉

③松田惣領 小野光助

④松田町小田急駅前 杉崎松之助

⑤松田町神山 川久保徳則

⑥松田町南通 加藤壽男

⑦松田町 亀田屋自転車店

⑧松田町 角吉自転車店

⑨松田町 中島忠三

⑩松田町 中田忠蔵

⑪松田町 星野爵弐

店舗前

日本輪界興信名鑑 大正14年度版
国会図書館所蔵資料 コマ番号378

全国輪界興信名鑑 昭和12年版
国会図書館所蔵資料 コマ番号328

お店にあった畑屋の古い工具

2021年12月24日金曜日

バックナンバー 113

 バックナンバー 113

ニュースレター(NEWSLETTER)NO.113

2001年8月23日作成 日本自転車史研究会

●シンガー三輪車の文献
オランダのT.Kさんからの電子メール。1879年のシンガー三輪車の参考文献がありましたらお願いします。

事務局:時間があればもっと多くの文献資料を抽出できるでしょうが、差当たり下記のリストを参照願います。

Singer tricycle
Bibliography of the picture
Source listing
①King of the Road. Andrew Ritchie. 1975.
②The world on wheels. Ruth Calif. Ruth Calif.1983.
③Riding High. Arthur Judson Palmer. 1956.
④Bicycles and Tricycles. Archibald Sharp. 1896.
⑤Bartleet’s Bicycle Book. 1931.
⑥Bicycles and Tricycles of the year 1886. Harry Hewitt Griffin. 1971.
⑦Fahrrad Patente. Ulrich Herzog. 1984.
⑧Fahrrad und Radfahrer. Wilhelm Wolf. 1890.
⑨Das Fahrrad. Dragoslav Andric. Branko Gavric. 1991.
⑩Early Bicycles. Nick Clayton. 1986.
⑪The Wheelmen. No.58. 2001. Wheelmen Club Magazine.
⑫The Boneshaker. No.132. 1993.Veteran Cycle Club Magazine.
⑬The Boneshaker. No.139.1995.
⑭The Boneshaker. No.106.1984.
⑮The Boneshaker. No.115.1987.
⑯The Boneshaker. No.117.1988.

The editing date 17.8.2001.

●オーディナリーに魅了
I.Aさんからのメール。 私はもともと昔のものが好きで、あるときふと あの形の(はじめは名前も知りませんでした。)自転車の ことが気になりだして調べてみたんです。 調べて行くうちに、ますますオーディナリーの魅了にはまってしまいました。 本当に、自転車の芸術品ですよね。 私はレプリカでも全然構わないのですが、レプリカでも30万円くらいするんですか? 私は実際乗ったことがありません。 乗るのが難しいそうですが、どんな感じなんですか? 前輪が昔のもの程大きくないものも見たことがあるのですが、 それもオーディナリーの一種なのかな・・・。 私もなぜオーディナリーが流行らないのか不思議です。 私はオーディナリーを手に入れたら、普段も乗りたいです。 自転車には乗れますが、うちの近所にはあまり練習できる 場所もないんです。 すごく前輪の大きなオーディナリーを見たことがあるのですが、 ああいうのは乗るのも大変なんでしょうね。 私の身長は165cmくらいです。 偽物は、普通に売られているのですか?

事務局:レプリカでも30万円はします。アメリカのケネディーも最近は、 40万円以上と聞きます。乗るのは簡単です。普段自転車に乗っているので あれば、30分も練習すれば乗れるようになります。 練習場所は出来れば学校のグランドが良いと思います。 大きいオーディナリーは60インチもあります。当然このサイズは身長が 190センチ近くないと無理でしょう。165センチですと46か48インチが 適当なサイズだと思います。 偽物もあります。特に30年ぐらい前にブリヂストンが作ったオーディナリー もあります。注意しましょう。アメリカのライダブルもお勧めできません。 たとえレプリカでも忠実に複製されたものならOKです。オリジナルを手に入れたら、それには乗らず、レプリカで練習すると良いでしょう。どうしてもはじめのうちは転倒しますので、 傷がつきます。特にグリップは傷だらけになります。

●ペニーファージングと一緒
9月21日、私は日本を発ちます。そして、3台のペニーファージングも一緒にお供します。 1台は50インチのツーリング用車、48インチの オープンヘッドのもの、そして、先ほどレストアした1878年製のアンダートン(50インチ)です。 私は、10月19日に、ニュージーランドのオーマルという町で 新しいビジネスを始めます。オーマルでは、ニュージーランドの中で最も大きいペニーファージング・クラブも主宰し、ペニーファージングの選手権のための準備をします。そして、11月には1週間、ペニーファージングでツーリングに出かける予定です。 また、オーマルではたくさんのペニーファージングをレストアし、それを 組みあげます。 ニュージーランドにはたくさんの素晴らしい自然があります。ハイキングに適した山も多いです。日本の皆さん、是非ニュージーランドにお出かけ下さい。お待ちしてます。Don Speden

2021年12月23日木曜日

古い絵葉書-1

 古い絵葉書-1

何回かに分けて自転車がある大正・昭和初期の古い絵葉書を掲載する。

最初は京都の八坂神社
自転車が2台見える。手前は小僧さんと自転車。
自転車は大人用か、乗車時は三角乗りだろうか。人物(17人ほど)の殆どが和服姿。

小僧さんの自転車には荷台もスタンドも付いていない。年代的に大正前期と思われる。

京都 八坂神社

2021年12月22日水曜日

自転車関係資料-74

 自転車関係資料-74

下の資料は年賀はがき、宛名の消印を見ると、明治36年1月1日とある。

当時の舶来自転車の銘柄が並ぶ、

クリーブランド、ピアス、イーグル、コロンビア、ランブラー、アイバンホー、クレセント、デートン、アイデアル、ウエストフィールド

新潟県代理店 芳屋自転車部

輪用雑貨美術品商 新潟市古町通四番町 芳屋徳右衛門

宛名の五十嵐甚蔵に注目、新潟県笹岡村の大地主で代々甚蔵を襲名、二代目は自転車好きだったようである。(他に自転車店からの葉書もあり)

二代目の略歴
五十嵐甚蔵 いがらし-じんぞう
1873-1935 大正-昭和時代前期の実業家。
明治6年4月27日生まれ。家は新潟県笹岡村(笹神村)の地主。新発田(しばた)銀行頭取であった大正10年,第四銀行と合併し頭取となる。新発田倉庫,新潟新聞の監査役,新潟県地主協会会長をつとめた。14年貴族院議員。昭和10年6月28日死去。63歳。慶応義塾卒。初名は直彦。
「デジタル版 日本人名大辞典+Plus」より

恭賀新年 明治36年元旦

宛名 新潟県北蒲原郡笹岡村
五十嵐甚蔵 様

2021年12月21日火曜日

バックナンバー 112

バックナンバー 112

ニュースレター(NEWSLETTER)NO.112

2001年8月16日作成 日本自転車史研究会

●海軍専用車
アメリカのS.TさんからのEメール。最近手に入れた自転車のマークに「海軍専用」と書いてある。 これはどこのメーカーの自転車か?

事務局:送られてきた写真を見ると岡本ノーリツ号と同じような丸に三角のマークが見える。チェーン・ホイールの抜きパターンもまさに岡本のものである。恐らくこの自転車は岡本が戦時中に海軍に納入したものだろう。タイヤは強力タイヤーである。戦時中の珍しい自転車だ。

●シンガー三輪車
オランダのT.Kさんからの電子メール。 鈴木三元により1882年ごろ作られた三元三輪車は、英国で製造されたシガー三輪車をモデルに作られた模造品であると貴ホームページにありますが、私もそれについて疑いの余地はありません。 それはまさにシンガー(1879年)のレプリカです。英国のブライトンでH.J ローソンがそのメカニック構造をデザインし、王室から特許を取得しています。当時この三輪車は、おもに女性が利用しました。 私は近くこの有名なシンガー三輪車の複製を作りたいと思っています。 もし何か技術的なドキュメンテーション或いは図面がありましたら、情報をお願いします。

事務局:日本人の一部に、シンガー型三元車は鈴木三元が発明したオリジナルな自転車であると言った説がありますが、当研究会は、発見当初から疑問に思っています。なお、シンガー三輪車の写真はありますが、図面は残念ながら所有してません。英国の特許関係の資料を探したらどうでしょうか?

●売り物:バロック・レーサー
1920年製、メーカー(バロック・サイクル、オーストラリアのアデレード)フレームサイズ 22インチ、フレームカラー 緑、車輪径28インチ、ステムはメジャーテーラー型、サドル レザー 状態良、シングル固定ギヤ、価格9万円。ドン・スピーデンまで。

●オーディナリーのウェブサイト中止
私はこの程コンピュータを売り、9月20日にニュージーランドに 帰国します。したがいまして、貴ホームページからのリンクを解除願います。ニュージーランドに帰りましたら新しい自転車ビジネスのために別のウェブサイトを立ち上げる予定です。そのときはまたアドレスを連絡します。お世話になりました。 Don Speden

2021年12月20日月曜日

自転車関係資料-73

 自転車関係資料-73

下の資料は新聞の切り抜きである。

新聞名は、大阪朝日新聞と分かっているのだが、肝心の日付が分からない。

そこで、この広告の文面から探ってみると、

「第四回内国勧業大博覧会」、「昨年以来我征清軍」、「4月11日より」

のキーワードから推定すると明治28年4月と云うことになりそうだ。

この広告には自転車の画が右端にあったので、たまたま保存していたもの。

神戸市楠公前 坪井商店 坪井多三郎

画の自転車を見るとミショー型であるが、広告には「●自転車 英国最新の製造に係る空気入り其他軽便改良品色々」

とあるから既に空気入り安全型自転車を販売していた。

何れにしても日本では明治20年代の前半はダルマ自転車が主流で、やっと明治25年辺りから空気入り安全型が登場する。

大阪朝日新聞 明治28年

2021年12月19日日曜日

老舗さんぽ-50

 老舗さんぽ-50

久々の「老舗さんぽ」、先日は松田町方面を自転車で散歩する。

目的は以前あった「鍵和田自転車」の探索である。

何回か既に試みていたが、まったく分からず諦めていたが、ひょんなことからその場所が判明した。

写真①が「鍵和田自転車」の本店があった場所。現在は蔵のような建物があるのみ。それと支店があった場所も判明する。写真②がその場所。現在は更地になっていて、つい最近までここに建物があった。Googleストリートビューを見るとクリーニング店であるが、以前は自転車店。何時ごろかハッキリしないがかなり前に自転車店を廃業したと聞いている。

鍵和田自転車の本店跡
屋号は「かねよし」創業は1915年(大正4年)とある

鍵和田自転車の支店跡

日本輪界興信名鑑 大正14年度版
国会図書館所蔵資料 コマ番号378

全国輪界興信名鑑 昭和12年版
国会図書館所蔵資料 コマ番号328

バックナンバー 111

 バックナンバー 111

ニュースレター(NEWSLETTER)NO.111

 2001年8月1日作成 日本自転車史研究会

●サザビースのオークション
9月16日土曜日、シカゴで自転車とオートバイのオークションがある。午前10時からハンマープライス。今回は送られてきたカタログの中で、興味ある物件はビクターとスターであった。

●ポリージャポン2001
ポリージャポン2001が、今年も信州・安曇野で10月20日~21日に開催される。コンクールデレガンスのテーマは「プレゼンテーションを楽しむ自転車」。
ポリージャポン2001事務局まで。

●覇王、十字号を求む
オーストラリアのコレクター、デビット・ウインチ氏が、日米富士の覇王号と三菱十字号を探している。適正な価格で譲って欲しいとのこと。覇王や十字号、それに折畳小径車のパピー号(志村精機)は欧米でもコレクターの間で人気が高い。彼は7月27日にサイクルギャラリー・ヤガミを訪れている。
また、オーストラリアのダリル・ホレスト氏は、2台のクラッシク自転車を譲りたいとのこと。
ラッジ、オーディナリー 1878年
ボーンシェーカー     1865年
詳しくは名古屋の八神商会へ。

●八神氏からのレター
小生にとって悲しいニュースです。短期間でしたが自転車マッチのコレクションで支援してくださった東塚 弘さんが逝去されました。同氏は43回に渡り「自転車通信」と言うニュースレターを発行していました。

●マンスリー・エムで自転車特集
7月号の雑誌「マンスリー・エム」で自転車を特集した。「甦る伝説の名車たち」の中で、片倉のポーターシルクが登場。40年前の懐かしい折畳小径車である。

●今井 彬彦氏逝去
自転車雑誌編集一筋の今井 彬彦氏が、6月5日逝去されました。 ここに謹んでお悔やみ申し上げます。

2021年12月16日木曜日

自転車関係資料-72

 自転車関係資料-72

下の資料は「東京勧業博覧会審査報告 巻4」の自転車重量表 明治41年12月26日発行 東京府庁より

註、東京勧業博覧会は、1907年03月20日(明治40年)~1907年07月31日(明治40年)に開催された。

会場:上野公園・不忍池畔


東京勧業博覧会審査報告、巻4 明治41年12月26日

自転車重量表

府県 出品人名 種類 総重量 適用

東京 松下幸作 アライアンス号 3,850匁(14.4kg) 金製リム付車輪

        東洋号三号  3,470匁(13.0kg) 金製リム付車輪

        東洋特許式  4,090匁(15.3kg) 金製リム付車輪

        東洋号四号  2,860匁(10.7kg) 競走用木製リム付車輪

        アライアンス号メ式  4,280匁(16.0kg) 金製リム付車輪

        ヒーロー号 3,340匁(12.5kg)  木製リム付車輪

東京 宮田栄助 パーソン号 3,440匁(12.9kg) 木製リム付車輪

        凱旋号 3,850匁(14.4kg) 木製リム付車輪

        旭号三号 3,620匁(13.5kg) 木製リム付車輪

        扶桑号 3,780匁(14.1kg) 木製リム付車輪

        旭号曲乗用 3,750匁(14.0kg) 木製リム付車輪

        特別旭号 3,970匁(14.8kg) 金製リム付車輪

        旭号競走用 2,730匁(10.2kg) 木製リム付車輪

        ホイラー号 3,470匁(13.0kg)  金製リム付車輪

大阪 角商会    ブラザー号 3,350匁(12.5kg) 木製リム付車輪

        ラチオネ号 3,510匁(13.1kg)  金製リム付車輪

山梨 原商会  防震用富士号  3,870匁(14.5kg) 木製リム付車輪

註、現在の自転車とあまり変わらない重量である。当時の工作技術の高さを垣間見ることが出来る。松下幸作(東洋商会)、宮田栄助(宮田製作所)

自転車重量表 131頁
「東京勧業博覧会審査報告 巻4」
国会図書館所蔵資料 コマ番号224

東洋商会と宮田製作所の展示場
「東京勧業博覧会審査報告 巻4」
国会図書館所蔵資料 コマ番号224

東京勧業博覧会全図
明治40年2月25日発行

東洋商会
帝国輪商案内 明治44年11月13日発行
国会図書館所蔵資料 コマ番号5

宮田製作所
帝国輪商案内 明治44年11月13日発行
国会図書館所蔵資料 コマ番号4

2021年12月15日水曜日

バックナンバー 110

 バックナンバー 110

ニュースレター(NEWSLETTER)NO.110

 2001年5月5日作成 日本自転車史研究会

●究極のエネルギー消費
4月21日付け日経新聞に、堺の自転車博物館の中村博司氏が「究極のエネルギー消費」というタイトルで、 自転車の健康学を論じている。エネルギー消費とともに、自転車はストレスをも発散させてくれ優れたスポーツであると力説。

●キャンベラでクラシック自転車集い
5月9日、オーストラリアのキャンベラでクラシック自転車の集いがある。 詳しくは下記のサイトで。
http://www.federationbikeride.org(現在は中止)

●VIANZONE
木製のクラシック自転車VIANZONE(伊・トリノ)は如何? 詳しくは名古屋の八神商会へ。
関連サイト → こちら

上記のサイトより

●佐野 裕二氏逝去
日本の自転車歴史を体系づけた佐野裕二先生が、4月27日逝去されました。ここに謹んでお悔やみ申し上げます。


2021年12月14日火曜日

自転車関係資料-71

 自転車関係資料-71

下の資料は石川商会の自転車正価表、発行年は書いてないが、富士山と自転車の画から明治34年であることが分かる。

この資料は虫食いがひどく穴がぽっぽつとあいていて、経年を感じさせてくれる。

自転車での富士登山は鶴田、ヴォーガン、デビンらによって明治33年8月21日に決行され、当時話題を呼んだ。新聞や雑誌でも報道された。

ピアス、アイバンホー、スネルは、石川商会の主力銘柄。

石川商会の自転車正価表 明治34年

裏面

2021年12月13日月曜日

バックナンバー 109

 バックナンバー 109

ニュースレター(NEWSLETTER)NO.109

 2000年12月18日作成 日本自転車史研究会

●日本のオーディナリー
先日、久々に日本自転車研究史のホームページを見せていただきました。8月に行なわれた世界自転車歴史会議ご苦労さまさまでした。O氏が発表した「日本のオーディナリー」に記載されているダルマ自転車について、私の知っていることをご報告します。
(I氏からのEメール)

図25のヨシダ自転車製作所所蔵のオーディナリーは、現在ヨシダ自転車の手元にはありません、10数年前、店舗を建て替える際、どこかの博物館に預けたと聞き及んでいます。また、あのオーディナリーの出所は、今から30年ぐらい前、茨城県の南部の自転車店からヨシダ自転車が譲り受けてきたもののと聞き及んでいます。さらに現在は、ヨシダ自転車では東京の尾久は事務所だけになっていて自転車の製造はおこなっていません、ふだんは人もいませんので電話をしても留守番電話につながってしまいます。創業者は数年前に亡くなっていますので、オーディナリーの行方を調べるのでしたら創業者長男が大宮の宮原に住んでいると聞き及んでいます。
私からの情報はこの位で、また何か情報が入りましたらご連絡します。

図25、以前は東京・ヨシダ自転車製作所所蔵
前輪77cm、後輪49cm、ヘッドチューブ等モダン的な作りである
写真提供:自転車文化センター

●タウン情報こうち
高知県で「タウン情報こうち」という地元タウン 誌の編集をしているNです。そのタウン誌の中にホームページを紹介するコーナーがあり「日本自転車史研究会」を紹介したくてメールしました。内容的には案内の文章とトップページを紹介したいと思っています。

●Mac Fan internet
突然のお便り失礼いたします。私はMac OSをプラットフォームにしたインターネットの月刊誌『Mac Fan internet』編集部のBと申します。さて、現在編集中の『Mac Fan internet』2001年1月号(12月8日発売)の特集として、「Webで振り返る20世紀」という記事を予定しております。その中で、記事にふさわしい内容のページということで貴ホームページ「日本自転車史研究会」をご紹介させていただきたく思いご連絡申し上げました。

●からくり儀右衛門
貴研究会の自転車年表を拝見してメールをしております。福岡県久留米市のТと申します。
大学生による共用自転車の活動を本にしようと進行中です。そこで、久留米市出身の田中久重(からくり儀右衛門)が明治元年に、二輪車と三輪車を製造とされていますが、詳しい資料を読みたいと思っています。
久留米市で制作されたからくり儀右衛門の資料には記されていません。申し訳ありませんが、教えて頂けないでしょうか?引用として入れさせていただきたいと思っています。

事務局:下記の本を参考にして下さい。
「自転車の一世紀」自転車産業振興協会編 昭和48年、「発明の歴史自転車」佐野裕二著 昭和55年、「自転車の文化史」佐野裕二著 文一総合出版 昭和60年、「自転車の文化史」佐野裕二著 中公文庫 昭和63年

2021年12月12日日曜日

自転車関係資料-70

 自転車関係資料-70

下の資料は自転車店のチラシ。

このチラシには年代が分かる文字が見当たらない。大正14年発行の日本輪界興信名鑑には既にこの店が載っている。開店15周年とあるから創業年が分かればすぐに判明するのだが、いまのところ分からない。大正後期か昭和初期で間違いはないと思うが、判然としない。

この自転車店、現在は廃業しているようである。

チラシの文面、

謝恩大売出し 開店拾五周年記念
櫻花の候になりました毎々御引立を蒙りまして小店も本年開業拾五周年になりました。就ては謝恩の為本年中自轉車を御買求め下さいました御方様に粗品を呈上いたし尚左の特々売を断行いたします。
普通自轉車 特價 十九円 五拾台限
名古屋製運搬車 特價ニ十一円 五拾台限
ただ安いといふ事だけならもっこ安くも出來ますがこれ以上安いるのは危険で損で不体裁です。
十五年の信用と経験で売出す自轉車がどんなに立派か是非御来店御覧下さい
四月八日ヨリ三十日マデ 期間中での売切れの節はご容赦下さい
この際御買上の自轉車は責任をもって修繕させていただきます。
早いが勝ち

西牧自轉車店

篠山町二階町・電話二五四番


註、篠山町は現在の兵庫県篠山市

参考までに「日本輪界興信名鑑」も掲載する。

店主は西牧秀太郎


大正14年発行の日本輪界興信名鑑
国会図書館所蔵資料 コマ番号526

2021年12月11日土曜日

バックナンバー 108

 バックナンバー 108

ニュースレター(NEWSLETTER)NO.108

2000年12月12日作成 日本自転車史研究会


●戦争と自転車のかかわり

私は現在、主にヨーロッパを中心とした戦争と自転車の関わりについて調べています。ヨーロッパ関連で何か良い本があれば紹介下さい。(KさんからのEメール)

残念ながら、あまりありませんでした。ざっと調べたところ下記のとおりです。時間があれば、もう少しリストアップできると思います。(事務局)

『The bicycle that curious invention. Sybil and Stephen Leek.1973.P.105 → The bicycle in time of war.  

『Bicycling a history 』Frederick Alderson.1972.P.127 → On civil and military occasions.

『The bicycle in life war and literature』 Seamus Mcgonagle.1968.  

『Bicycles in war』 Martin Caidin and Jay Barbree.1974.

『A social history of the bicycle』 Robert A Smith.1972.P.227 → The military role of the bicycle.

『The world on wheels』 Ruth Calif.1983.P.162 → War wheels.

『Riding high the story of the bicycle』 Arthur Judson Palmer.1956.P.146

『Bikes and riders』 James Wagenvoord.1972.P.93 → The military-industrial bike rider complex.

日本の関係

『自転車指針』
陸軍歩兵大尉 梅津 元晴著、明治35年11月1日発行、厚生堂。

『自転車隊の四季』
(北支派遣第五九師団自転車隊)高橋 長敏著、平成元年4月5日発行、㈱栄光出版。

『Bicycles in war』1974年


●自転車レースの優勝旗

先般、東京のある自転車マニアから自転車レースの優勝旗を入手した。大きさは70×80cmで、その旗には、贈 小田原自転車競走大会 優勝 小田原市山王原 山崎屋酒店(スポンサーか?)と書かれている。そして、もう1枚は「光自転車」の旗で、神奈川光会とある。こちらの方は、優勝旗ではなく、単なる普通の旗である。恐らくこれらは戦前のものと思われる。(M氏からの手紙)

事務局注釈:出所はどうやら神奈川県平塚、平田忠心(故人)さん宅から出たようである。


2021年12月10日金曜日

自転車関係資料-69

 自転車関係資料-69

下の資料は、二つ折りのチラシ、平和博の記念メダル引換券にもなっている。

杉野商店の「國一號」(くにいちごう)を購入した際に、この引換券を提示すると18金の記念メダルがもらえるという趣向。

平和博とあるからこのチラシの発行年は1922年(大正11年)ということになる。

下は謳い文句、

路上の平和
それは国一号に乗って初めて得られます

斯界の第一線を占むること国一号は、今や凡ゆる階級より人気と賞賛の焦点となっています。逓信省初め官辺の多数な御用命がこれを最もよく説明しています。



註、平和記念東京博覧会は、1922年(大正11年)に上野公園で開催された博覧会。

日本輪界興信名鑑 大正14年度版
国会図書館所蔵資料 コマ番号22

●杉野商店、他の銘柄車、トライアングル号、オートレース号
東京市神田区末広町10 

2021年12月9日木曜日

バックナンバー 107

 バックナンバー 107

ニュースレター(NEWSLETTER)NO.107

 2000年11月23日作成 日本自転車史研究会

☆日本サイクリング協会誌
S氏からのEメールによると、最近「日本サイクリング協会」機関紙『サイクリング』の創刊号を入手したとのこと。巻末の同協会規約のページをみると、名誉会長に森村市左衛門や会長に式場隆三郎の名前が見える。昭和30年3月1日発行。

☆アズキ自転車
アメリカのフランシーヌという女性からの質問Eメール。
私は、最近ビバリーヒルズの紳士から日本の自転車を買った。それは、アズキ Azuki (Century)と言うサンツアーの部品が付いた婦人用自転車です。1980年頃のものと思いますが、この自転車の製造会社等教えて下さい。

この自転車はカワムラ自転車㈱が製造したもので、当時カリフォルニアのウェスト・コースト自転車㈱が販売した自転車です。いくつかのモデルが作られ、グレードによりサンツアーとシマノのコンポーネントで組み上げられた。サンツアーは品質も良くアメリカ人にも好評であった。生産された期間は1970年から1980年頃まで。貴女のアズキ自転車は良いものと思います。(回答:八神氏)

☆モールトン・ミーティング
11月19日、伊豆長岡温泉でモールトン・ミーティングが開催された。この日は生憎肌寒い曇り空であったが、この日のためにモールトン博士は帰国の日程を変更し、10時半頃イベント会場に現れた。そして自ら新シリーズのモールトン・スピード「パイロン」とブリジストン/モールトンの新製品を詳しく説明した。午後からは試乗会とモールトン博士とのサイクリングも行われた。

☆『Mac Fan internet』
この度、当研究会のサイトが『Mac Fan internet』2001年1月号
(12月8日発売)の特集号「Webで振り返る20世紀」で紹介される予定。

☆「Pirate、海賊号」自転車
私は日本製の自転車を所有している。ブランド名は「Pirate、海賊号」。この自転車についての情報を知りたい。(米国、ボブ氏からのEメール)

「Pirate」というブランド名は記憶に無い。日本では有名な商標ではない。一般に、日本ではほとんどのメーカーは、主要なブランドを除いた2番目及び3番目のブランド名を輸出用に使用した。従って、「Pirate」は2番目か3番目のブランド名ということになる。第2次世界大戦後、日本の自転車工業も徐々に回復し、1960年代に入ると国内はもとより海外市場でも品質の良い自転車として受け入れられるようになった。この次期には、シマノの3スピードギアも登場している。なお、この自転車にはHATANIブランドのモデル750番のサドルが付いているが、これは大阪にあったサドルメーカーだ。チェーンの全ケースを含む他のパーツは当時の標準的なコンポーネントと言える。これらの特徴から総合的に判断すると、この自転車は昭和30年頃の標準的婦人用車である。(回答:八神氏)


2021年12月8日水曜日

自転車関係資料-68

 自転車関係資料-68

この資料は、ライフル號自転車のチラシ。

自轉車 米国特許號 ライフル

"RIFLE"

SPECIAL MAKE

RELIABLE SERVICEABLE PRACTICAL

AND ECONOMICAL

MOST UP-TO-DATE 1922 NEW STYLE

RIDE A BICYCLE FOR CONVENIENCE.

RIDE THIS BICYCLE: THIS IS THE BEST.

"ライフル"

特別製造

実用的で信頼性の高いサービス

そして経済的

1922年の最新型

便利な自転車に乗る。

この自転車に乗る:最高だ。

推薦と督励

米國大統領ハーデンク氏の懇切なる書簡

米国華府白亞殿にて本年三月四日認められたる手紙が秘書官の手から弊社に参りました、日米貿易と社会奉仕とに努力して居る弊社は一國の元首から此有り難き言葉を頂き一層奮勉して諸氏の御期待に背かない樣に奉仕する様、大なる決心を致しました、謹んで諸氏の御後援を御願ひ申上ます。

註、ウォレン・ガメイリアル・ハーディング(Warren Gamaliel Harding, 1865年11月2日 - 1923年8月2日)は、1920年の選挙でアメリカ合衆国の第29代大統領になる。

ライフル號自転車のチラシ 1922年

2021年12月7日火曜日

バックナンバー 106

 バックナンバー 106

ニュースレター(NEWSLETTER)NO.106

2000年11月15日作成 日本自転車史研究会

●長谷川・スピーデンWeb開設
日本で唯一オーディナリーの製作販売を行っている。長谷川&スピーデン・クラッシック自転車商店は、このほど念願のサイトをオープンした。タスマニアのダルマ自転車レース等を紹介したページの写真集は興味深い。
http://www.inet-shibata.or.jp/~HSbicycles/
(現在は、Not Found The requested URL was not found on this server.)

●ヤフーの自転車オークション
自転車関連のオークションは下記のサイト。クラシック自転車はあまりない。どう言う訳か折畳み自転車が多い。
https://auctions.yahoo.co.jp/

●ブルックスのオークション
ロンドンのオリンピアにあるナショナル・ホールで、12月4日(月)ブルックスのオークションが開催される。前回7月のオークションでは、1870年製のメイヤー・ボーンシェーカーが32,000ポンドで競り落とされ、話題となった。今回のオークションでは、どのような歴史的価値ある自転車が登場するか楽しみだ。

●モールトン博士来日
第7回アレックス・モールトン・オーナーズ・ミーティングについては前回のニュースレターでご案内したが、最近の情報によると、英国からモールトン博士が来日し、同イベントに参加予定とのこと。また、先般発売されたブリジストン/モールトンの試乗会も実施される。

●大日本自転車㈱
大日本自転車株式会社の簡単な年史を知りたい。(M氏からの質問Eメール)

略年史は、下記のとおり。
大日本自転車株式会社の略年史は、下記のとおり。
1899年(明治32)11月 岡崎久次郎、日米商店を創業。
1901年(明治34)10月 米国製レロイ自転車を販売。
1906年(明治39)1月 店主渡英、ラーヂ自転車の直輸入契約を締結。
1916年(大正5)12月 大日本自転車株式会社創立。国産ラーヂ自転車の生産が目的。
1917年(大正6)2月  業平工場、試運転開始。
1917年(大正6)7月 工場・事務所を全焼。8月末同復旧。
1917年(大正6)11月 チェーンの製作開始。
1919年(大正8)5月  DNB製ケント号発売。
1919年(大正8)8月  リムを生産。日米リム発売。
1919年(大正8)12月  東洋護謨㈱を買収。鬼タイヤなどを生産。
1931年(昭和6)6月  低価格実用車「鬼号」を発売。
1937年(昭和12)9月  大日本機械工業株式会社に改称。
1938年(昭和13)12月  業平工場、軍需工場に指定。
1945年(昭和20)8月  終戦により関係会社運営停止。
1946年(昭和21)7月  商号を旧商号「株式会社日米商店」に変更。
1952年(昭和27)4月、ナショナル自転車工業(株)設立。
1961年(昭和36)11月、大日本機械工業(株)と松下電器産業(株)により光自転車(株)を共同設立。
1971年(昭和46)ナショナル自転車が旧光自転車(株)製造部門を継承。
1972年(昭和47)4月、富士自動車と大日本機械工業(株)合併。昭和48年1月ゼノア→昭和54年10月小松ゼノアと改称。 

●地球温暖化防止会議と自転車
11月13日からオランダのハーグで地球温暖化防止会議が開催されている。自転車先進国のオランダでの開催とあって、会議の中では、大都市での自転車利用の促進等も論議されよう。自転車をバスや路面電車と並ぶ新しい都市の公共交通と位置付けその普及を計る。既にアムステルダムには45箇所の無人の貸し自転車置場も設置され、気軽に市民がこれを利用している。

2021年12月6日月曜日

自転車関係資料-67

 自転車関係資料-67

この資料は日米商店の二つ折り名刺型の広告、1937年(昭和12年)

いまでも時々古書店などで売られている。

どういう訳か同じものが3枚ある。

その謳い文句に、

世界の市場に名声を博す

富士自転車

科学工業の粋を集めて製出する最高級優秀車より大衆的普及車まで十数種類あり。

富士自転車愛乗家倍加運動大懸賞売出中

株式会社 日米商店 名古屋支店 名古屋市西区伝馬町三丁目

表面
カレンダーと名古屋駅汽車時刻表

裏面
電車・バス名古屋路線図

2021年12月5日日曜日

サイクリストのメモ

 サイクリストのメモ

先日、1969年のメモ帳を見ていたら、「自転車で放浪」という記事が目に留まった。

たった1行のメモだが、何となく当時を思い出させてくれた。

1969年(昭和44年)6月4日(水)晴れ

自転車放浪家、(まさにRover?)

この日の放浪コース、

西久保→小出→遠藤→用田→寒川→帰途

たったこれだけである。

しかし、小出の急な坂や、遠藤のあまり車が通らない道、藤沢の用田(昔は用田村)、寒川神社など。今では懐かしい思い出になっている。自転車は宮田の軽快車であった。

この日の新聞ニュースとして、

モスクワ3日=タス通信 ソ連は、人工衛星コスモス285号を打ち上げた。

註、コスモス衛星(ロシア語: Космос)はソビエト連邦とロシアの人工衛星。1962年3月16日の1号機~2504号機(2015年3月31日の時点)


2021年12月4日土曜日

バックナンバー 105

 バックナンバー 105

ニュースレター(NEWSLETTER)NO.105

 2000年10月26日作成 日本自転車史研究会

●ブリヂストン製モールトン
ブリヂストン・サイクルは、英国のアレックスモールトン社と共同開発した自転車(BSM179)を発売した。17インチの小径ホイールとフレームにアルミを採用、重量を11.4キロとした。価格は19万円。

●第7回アレックス・モールトン・オーナーズ・ミーティング
第7回アレックス・モールトン・オーナーズ・ミーティングが次の日程で開催される。
日時:11月19日(日)10:00~16:00(受付:9:30)
場所:伊豆長岡町総合会館アクシスかつらぎ多目的ホール。伊豆長岡町古奈255
内容:午前 懇親会、午後 走行会(サイクリングラリー)
主催:JAPAN MOULTON BICYCLE CLUB、参加費 \3,500(参加記念品込み)

●ヒルマン、オーディナリー
ヒルマン1878年製50インチ、オリジナルペニーファージングの情報が次のサイトにある。興味のある人はアクセスを。(現在はアクセスできない)

●自転車の歴史が分かる貴重なページ
この程、Hi-HOのメールマガジンで次のように当研究会サイトを紹介。

日本自転車史研究会
http://www.eva.hi-ho.ne.jp/ordinary/JP/

「自転車年表」と「日本のオーディナリー型自転車の歴史」は必見でしょうか。オーディナリー型というのは、前輪がやたら大きい自転車で、チェーンを使わず三輪車のように前輪のペダルを漕ぐタイプのものですね。その歴史を見ていると、日本にもこんな優雅な時代があったのだなーとしみじみ。

●Poly Japon 2000

同イベントが長野の穂高町で、10月21日、22日の2日間開催。全国から60名の参加者があり盛況だった。今年のテーマは、ルネエルスで、タンデムを含め30台近くのエルスが参集した。

●ニューサイのCD-ROM
月刊雑誌「ニューサイクリング」のバックナンバーを収録したCD-ROM第1集が発売。5枚組みで1万円。創刊号から100号まで。第2集のCD-ROMも12月中に発行予定。

●スター・メイのサイト
スターメイ・アチャーは、ハブギア、ハブブレーキ、スポーク、およびブルックス革サドル等のサイクルコンポーネントを提供するメーカーである。下記サイトにはそれらの製品と興味深いハブギアの仕組みなどが紹介されている。
https://www.sturmey-archer.com

●世界のオークション
世界のオークションについて私見(名古屋、八神氏)。
Phillips ---------------英国、有名、権威あり。値ごろ。
Sotheby's ------------米国、権威あり。割高。
Brooks ---------------英国、歴史あり。経済的。
Copake --------------米国、ポピュラー。値打ち。
Sotheby's ------------英国、有名。値ごろ。
Uhren & Alte Technik ---独国、業者通。標準。
Blue Book ------------米国、プロ好み。上下幅。
皆様はどう思いますか?

●満鉄時代の資料
満州鉄道の機関誌「協和」(復刻版)120冊余を入手し、「満州に於けるスキー事情」を調べる中、当時の自転車に関する記事・広告がありました。内容は下記のとおりです。価格の変化など当時が忍ばれます。(名古屋、八神氏からのメール)

第96号(昭和8年4月15日)
自転車:軽い丈夫な自転車です。お値段は16吋及び22吋物13円20銭(州外14円80銭)24吋物13円70銭(州外15円30銭)補助タイヤ附きは50銭上りです。

第160号(昭和10年12月15日)
玄関の自転車:第2分館北玄関(建設局)脇の自転車置場が入り口に余り接近しているため自動車が1台正面に停車すると出入は殆ど完全に遮断される。雨の日などの迷惑は想像以上、至急一考を望む。

第166号(昭和11年3月15日)
自転車:昨年大毎東日等の後援の下に誕生した日本サイクル連盟は2月24日大日本体協に正式加盟手続きをなし、一方オリンピック参加の為め5万円募集することとなった。外国ではサイクルレースは従来非常に興味をもたれ特に仏蘭西等はプロフェッショナルが居て盛んである。

第182号(昭和11年12月1日)
相互欄/売渡:自転車中古(東京日直商会)26吋原価50円売価15円、四平街貨物事務所、久保

●Iモード専用サイト開設
当研究会ではこの度Iモード専用サイトを開設した。Iモード仕様の携帯電話をお持ちの会員は是非アクセスして欲しい。そしてブックマークに登録すれば、ニュースレターの情報を何時でも何処でも簡単に読むことが出来る。(現在は中止)


2021年12月3日金曜日

自転車関係資料-66

 自転車関係資料-66

下の資料はサンビームの雑誌広告。

「THE IRISH CYCLIST AND ATHLETE」xi. FEBRUARY 6, 1889

雑誌「アイルランドのサイクリストとアスリート」1889年2月6日発行

SUNBEAM CYCLES, 1889.

THE SUNBEAM ROADSTER.


TRADE MARK

JOHN MARSTON、Paul Street Works、WOLVERHAMPTON.

38, Holborn Viaduct, LONDON.


SUNBEAM CYCLES、 1889.

2021年12月2日木曜日

バックナンバー 104

 バックナンバー 104

ニュースレター(NEWSLETTER)NO.104

2000年8月26日作成 日本自転車史研究会

●国際自転車歴史会議、大阪・堺で開催 

第11回国際自転車歴史会議が堺のシマノ本社屋で開催された。

この会議は8月24日から25日の2日間の日程で行われた。

8月24日(木)シマノ本社の会議室で、自転車歴史研究発表会。第1部から第3部まで。

8月25日(金)前日に引き続き自転車歴史研究発表会。第4部から第7部まで。

発表者は全部で25名。うち日本人は下記の8名。

齊藤俊彦氏・・・・・・・・・・本邦道路交通における自転車の歴史的役割

大津幸雄氏・・・・・・・・・・日本のオーディナリー型自転車の歴史

梶原俊夫氏・・・・・・・・・・ わが国初期安全型自転車製造技術

小池一介氏・・・・・・・・・・日本の第2次大戦前のスポーツ車の歴史

中村博司氏・・・・・・・・・・日本の変速機の変遷

八神史郎氏・・・・・・・・・・日本の自転車の輸出、輸入の歴史

ヤマハ発動機、高田氏・・・・・電動ハイブリット自転車について

自転車産業振興会、河野氏・・・日本の自転車レースと競輪の歴史


過去の開催地

第1回 1990年 - 英国、グラスゴー

第2回 1991年 - フランス、サンテティエンヌ

第3回 1992年 - ドイツ、ネッカーズルム

第4回 1993年 - 米国、ボストン

第5回 1994年 - 英国、ケンブリッジ

第6回 1995年 - 南アフリカ、ヨハネスブルグ

第7回 1996年 - 米国、バッファロー

第8回 1997年 - 英国、グラスゴー

第9回 1998年 - カナダ、オタワ

第10回 1999年 - オランダ、ナイメーヘン


註、来年の第31回の歴史会議は、米国のインディアナポリスで開催予定。(2022年7月16日~20日)

国際自転車歴史会議のHPは、→ こちら


2021年12月1日水曜日

自転車関係資料-65

 自転車関係資料-65

下の資料は、山口自転車のチラシ、
発行年は不明だがおそらく昭和10前後である。「鋼鉄製 全回転部防水式」のキャッチコピーはこの時期盛んに使われていた。

以下はその文面、

鋼鉄製 全回転部防水式
山口の自転車

御使用上の注意
一、本車のヘット(操舵廻轉部) ハンガー(曲軸廻轉部)ハブ(車軸廻轉部) ペダル (踏子廻轉部)は油を差さない様にお願いします。
右の回転部內は精製せるマルワイグリス(練油)を以て充滿され尚それぞれ完全な防水裝置をし外部から雨水、砂塵等が浸入しない様になつて居りますから注油の必要はありません。尚長期間御使用の為廻轉部の油が切れた場合は代理店に専用マルワイグリスの注油を御下命下さい。
一、チェイン(鎖)ブレーキ(制動器の運動部)は油を差して下さい。
一、空氣は充分入れて御愛乘下さい。
空氣の少いのを構はず御使用になりますとタイヤー及中袋が非常に早く損傷致します。

特許 全廻轉部防水式
寫眞御說明
(イ)(ロ) 防水ヘット
本車獨特の構造にして玉押の上部は更に防水カバーを装置して有ります
(ハ)(ニ)油入防水ハブ
玉押内部に獨特な防水パッキン及防水壁を設けその上モーターグリスが充滿されてをります
(ホ) 油入防水ハンガー
内部は全部モーターグリスで充満され外部は防水パッキン裝置になつてをります
(ヘ)(ト)防水ペダル
ペダルは最も水や泥の侵入する所ですから玉皿の両側に防水パッキン及び防水カバーが装置してあります

東京 山口自轉車工場

山口自轉車工場のチラシ

2021年11月30日火曜日

バックナンバー 103

 バックナンバー 103

ニュースレター(NEWSLETTER)NO.103

 1999年12月25日作成 日本自転車史研究会

●2000年に日本で国際自転車歴史会議開催決定
国際自転車歴史会議については既に何回かこのニュースレターでもお知らせしているが、この程その概要が明らかにされた。 開催日は2000年8月23日から8月25日の三日間。場所はシマノと同社の自転車博物館である。 詳しい内容はまだ明らかにされていないが、日程はほぼ次のとおり。 8月23日(火)シマノの工場見学と自転車歴史博物館の見学。 8月24日(水)シマノ社内の会議室で、自転車歴史研究発表会とシマノ主催の歓迎パーティー。 8月25日(木)昨日と同様引き続き研究発表会。研究発表会終了後は、翌年2001年の国際自転車歴史会議の件について執行部の打ち合わせ。 この国際自転車歴史会議も第11回目を迎えるが、記念すべき2000年に日本で開催できることは本当に喜ばしいことである。 これを機に人々の関心が向き、日本での自転車の歴史がより深く究明されることを期待する次第である。

●ペニーファージング・チャンピョンシップ
来年の2月恒例のチャンピョンシップが真夏のオーストラリア・タスマニア島で開催される。内容は、センチュリー・ライド、100マイル(162km)、エアーポート・スプリント(1マイル直線コース)、スローレース、スラローム、チャンピョンシップなど。

●中国にもクラシック自転車のコレクター
ザ・ホイールメンのニュースレター誌10月号によると中国にもクラシック自転車のコレクターがいるとのこと。
 
●日本にオーディナリーのクラブ誕生?
新潟県に住む英会話教師、ドンさんから事務局に電子メールがこの程届いた。彼は日本でオーディナリー自転車を作りラリーやレースを開催したい考えのようだ。オーディナリーの製作はパーツを主にオーストラリア、ニュージーランドから輸入して日本で組み立てる。日本人の長谷川氏と店を持ちそこで販売する。これで日本でもオーディナリーに乗る人が増え将来的に日本でこの自転車による世界選手権レースが行われることを期待する。
 
●自転車のチェンジギアの歴史本
「The Dancing Chain -History and Development of the Derailleur Bicycle」というチェンジギアの変遷を書いた本が発行された。著者は、FRANKO BERTO,RON SHEPHERD,RAYMOND HENRYの3氏。年代的には1865年から1999年までの歴史を紹介している。マニアならずとも是非備えたい一冊である。

Unlike other bicycle history books, which cover only the first 100 years, this book deals extensively with the second century of bicycle development. It traces the development of the modern derailleur bicycle from its crude beginnings right up to the most modern mountain bikes and road racing bicycles. This thoroughly updated and expanded edition includes over 100 additional illustrations and hundreds of text corrections and updates.

「The Dancing Chain」

2021年11月29日月曜日

自転車関係資料-64

 自転車関係資料-64

この資料は昭和30年の広告チラシ。

その文面には次のように書いてある。

明快の自転車推進運動
御協力感謝行事
期間中売出し商品御買上の方を左記の通り感謝御慰労申上げます
期 間 自昭和三十年六月一日・至昭和三十年八月三十一日
売出要領
明快の自転車10台(キング明快号、明快実用号、新明快号、キリマン号)
ケーアール タ・チ十組
右の商品お買上げ、御入金(九月中)の御方様
御一名様御招待申上げます。
時期 昭和三十年十月中旬頃
伊勢神宮参拝 観光の地
伊勢志摩国立公園以下
名古屋市中村区長戸井一丁目十九
合資会社 メイカイ自転車製作所

メイカイ自転車製作所の広告チラシ
昭和30年5月

2021年11月28日日曜日

バックナンバー 102

 バックナンバー 102

ニュースレター(NEWSLETTER)NO.102

 1999年7月15日作成 日本自転車史研究会

●”開運!なんでも鑑定団”にダルマ車登場

7月13日午後9時からのテレビ東京の「開運!なんでも鑑定団」に自転車が久々に登場した。以前にも確か一度自転車は出たことがある。その時は、1970年頃のイタリア製自転車ゴルナゴだった。この時の鑑定でもがっかりしたが、今回の鑑定も期待を裏切るものだった。自転車を知らない人に鑑定させているので止むを得ないのだが、非常に残念だ。前回のゴルナゴは、高すぎたし、今回は安すぎる。自転車がこの体たらくなら、他の物件も疑問に思えてくる。どうみてもこの自転車は100万円位の評価を出して欲しかった。何よりの救いは一人の鑑定員が80万円と言ってくれたことだ。これが唯一の慰めだ。ある鑑定員は、イギリスでもこのような自転車は50万円だと言っていた。何をもって50万円なのであろうか?最近イギリスでも木製車輪のオーディナリーは稀少だ。5、000ポンドは下らないと聞いている。ある鑑定員は、程度・保存状態が悪いので30万円が妥当とも発言した。たくさんあるブリキの玩具と同類に考えているのであろうか?他にもこのような自転車が10台も20台もあれば話は別だが。世界に僅か1、2台だったら、あるいはこれが梶野製の自転車だったらどうなのだろうか?ただ単に保存状態が悪いということでの減点法は考え物だ。残念ながらこの番組の鑑定員の自転車に対する見識は、この程度なのである。将来日本でも自転車関係のオークションができるようになり、正当な評価ができる鑑定家が現れることを望みたい。そのような時代に早くなって欲しいものだ。そうすればもう少しまともな鑑定結果が出るだろう。 

●弁理士制度100周年記念郵便切手
郵政省は7月1日、弁理士制度100年を記念して、人動車をデザインした記念切手を発行した。この人動車は、特許代理業者登録規則が施行された明治32年7月1日に、特許となった乗り物である。この人動車、その後話題にならなかったところを見ると、特許をとっただけで、ものにならなかったのだろう。

弁理士制度100周年記念郵便切手

●国際自転車歴史会議、2000年に日本で?
名古屋の八神氏からの情報によろと、自転車歴史会議の2000年開催国は日本に決まったらしい。どうやらシマノが中心となり、話が進んでいるようだ。会場や日程等はまだ決まっていない。

●産業考古学会の論文集
5月15日に開催された産業考古学会の第23回の総会に「自転車文化センター保存資料にみる自転車錠の種類と変遷」と題し、谷田貝一男氏の研究発表があった。この内容については、同会発行の論文集に収録されている。表紙はあの三菱十字号である。


2021年11月27日土曜日

自転車関係資料-63

自転車関係資料-63

下の資料は雑誌かチラシの切り抜きである。偶々明治後期の写真があったので保存しておいたもの。写真は薬屋である丹平商會分店の店舗前である。明治42年頃と思われる。

その写真の裏面には次のような、記事とグラフが載っていた。

・・・・なる努力に由るものなれば捷って兜の紐を解かざるの精神を体せらるるに於ては爾後一層の活況を呈し愈々確固不抜獨立獨步の業務たる成績を挙げ世人をして斯業の盛大なるを羨望せしむるに至るべし其最後の月桂冠を頂くと否とは一に繋りて各位の双肩にあり冀くば前途の曙光を楽み奮励一番せられんことを、僭越の辞は各位の御宏量に任じ偏へに御寛恕あらんことを請ふ・・・・

却説弊店の業績を概述致し候得ば幸いにして弊店も前記の余沢に洩れず華主各位の深甚なる御後援と熱誠なる御同情に浴し年と共に盛況を加へ其売上高に於て偉大なる増額を示したるは店員一同の欣喜雀躍手の舞ひ足の踏む處を知らざる程に御座候、左に最近四十一年四十二年両年度に於ける営業成績累月高低及對照表を御参考迄に貴覧に供し其事實を證明仕候

丹平商會分店卸賣営業成績表

赤、四十一年

黒、四十二年

(グラフ省略)

●但し四十一年、四十二年両年度に於ける累月高低を示す

如斯良成績を挙ぐるは全く華主各位の至大なる賜物に外ならざる義に付弊店は此鴻恩に酬い んため世運に遅れず進取的氣象を以て世の・・・・


丹平商會とは、現在の丹平製薬であり、同社の沿革をみると明治27年の創業とある。

この店舗前の写真を見ると、薬箱が山のように積み上げられている。人物は7名、おそらく店長と従業員であろう。左側に自転車が1台写っているが、銘柄までは分からない。

丹平商會分店の店舗前 明治42年頃

裏面の営業成績表

丹平製薬の沿革(同社のHPより)
1894年 (明治27年) 売薬業として森平兵衛が大阪・心斎橋の地に丹平商会薬房を創設
1896年 (明治29年) 当時としては斬新かつ貴重な頭重薬「健脳丸」(現:健のう丸)を創成・発売
1898年 (明治31年) 丹平商会に改称
歯痛薬「今治水」(現:新今治水)の販売を開始
1907年 (明治40年) 東京支店竣工 (現タンペイ日本橋ビルの前身)
1924年 (大正13年) 画期的な複合商業ビル「丹平ハウス」竣工
1925年 (大正14年) 皮膚病新薬「アスター」(現:アスター軟膏)を発売
1936年 (昭和11年) 丹平商会が株式会社に改組(会社設立年)
1957年 (昭和32年) 丹平製薬工業に改称
1965年 (昭和40年) 茨木市宿久庄396番地(現:2丁目7番6号)に本社・工場を新築、移転
1968年 (昭和43年) 丹平製薬株式会社に改称
1969年 (昭和44年) 第4代目社長に森輝彦就任、会長に森楢栄就任
1972年 (昭和47年) 洗剤メーカーのアロマ株式会社を合併、洗剤部門に進出
1987年 (昭和62年) 「アルエット洗たく用せっけん」を発売
タンペイ日本橋ビル竣工(地上7階、地下1階のテナントビル)
1990年 (平成2年) 乳幼児向けスキンケア商品「アトピタ」シリーズ発売
1994年 (平成6年) 創業100周年記念式典をハワイにて開催
1999年 (平成11年) 東京支社をタンペイ日本橋ビルに移転
2001年(平成13年) 歯垢が赤く見える液体ハミガキ「こどもハミガキ上手」を発売
2006年(平成18年) ハミガキあとの仕上げケア「ハミケア」を発売
2011年(平成23年) 「ママ鼻水トッテ」が第2回マザーズセレクション大賞ベストベビーケア部門を受賞
2014年(平成26年) 「カンガルーの保冷・保温やわらかシート」が第8回キッズデザイン賞を受賞
創業120周年記念式典を開催
2017年(平成29年) 第5代目社長に森宏之就任、会長に森輝彦就任

2021年11月26日金曜日

バックナンバー 101

 バックナンバー 101

ニュースレター(NEWSLETTER)NO.101

 1999年5月16日作成 日本自転車史研究会

●一般誌でも自転車
最近、一般誌の「ラピタ」や「ペン」で自転車を特集している。 自転車がいまやトレンドなのか?そうとも感じないのだが。まあ、ともあれよい傾向だ。 「ラピタ」の5月号ではシカゴのあるコレクターを紹介。実は1991年に私は彼のコレクションを 実際に見ている。確かに記事のとおりその数は半端でない。300台以上は間違いなくある。 ただ言えることはその中で歴史的に価値ある自転車はほんの数台である。正直言ってほとんどは ガラクタだ。もちろん分類も調査もされていない。ただ雑然と集めたと言う感じである。
ところが 以前「ペン」に紹介されたプライアー・ダッジ氏(音楽家、タンゴの名手)のコレクションは本物である。 彼自身、自転車史家でもあり 立派な歴史の本も書いている。また、ホームページも公開している。(当サイトからもリンク)
雑誌が取り上げる内容は様様だが、今後もこのような特集を期待したい。
 
●マイクさんフォーセールのサイトを開設
ザ・ホイールメンのメンバーであるアメリカのマイクさんがこの程 クラッシク自転車のフォーセールのページをオープンした。彼はオーディナリーの鑑定家でも あり、またレストアも手がける。信頼できる物件なので興味ある会員は照会するとよい。
アドレスは次のとおり。
Antique Bicycles for Sale
http://www.ultranet.com/~hound/AntiqueBicycles.html(現在は行っていない、2021年11月24日調査)

●浅井 忠の画にダルマ自転車
八王子のK氏からの情報によると、明治時代の洋画家である浅井 忠の作品の 中にオーディナリーが描かれたものがあるとのこと。早速送られてきたコピーを見ると 小さいが確かにオーディナリーが2台画かれている。K氏の推測によると彼はパリの万国博後に フランス留学しているので、その時に見たのではないかと言っている。
よほど印象が強かったのであろう。

●スコットランドの自転車史
「Scottish Bicycles & Tricycles」 と題する本が発行された。 この本は、ホビーホースから最近の自転車までを通史としてまとめている。
スコットランドと言えば、カークパトリック ・マクミランを思い出す。どうやら本当の視点は、この辺にあるようだ。しかし、 最近の通説ではその立場は 否定的だ。

「Scottish Bicycles & Tricycles」by Alastair Dodds .1999.P100.
The story of Scottish bicycles and tricycles is covered from the original hobby-horse velocipede to the boneshaker and from the penny farthing to the homemade superbike, offering a glimpse into the trials and tribulations of inventing pedal-power.

「Scottish Bicycles & Tricycles」
by Alastair Dodds .1999年100頁

●100年前の記事
日本の100年前は明治32年である。このころ輸入されて いた自転車を当時の新聞広告から拾ってみると、次のような名前が出てくる。 米国製:ホワイトフライヤー、クレセント、クリブランド、オバランド、アイーデヤ、 ラムブラー、モナクなど。
まだこのころは米国製輸入自転車が全盛であった。 特にクレセントやクリーブランドは人気があった。
また、この年の雑誌「中学世界」東京博文館発行には、桜井 鴎村が「自転車発達の跡」 と題し、2号にわたり自転車史の概観記事を寄せている。
ドライジーネやミショー型、オーディナリー 型の挿絵もあり、分かりやすく解説している。これらは当時の自転車史の状況を垣間見ることができる 貴重な資料である。