2024年7月25日木曜日

レンツとアウティング誌 - 12

 レンツとアウティング誌 - 12

「OUTING」 スポーツ、旅行、レクリエーションのイラスト入り月刊誌

第 23 巻 1893年10月 - 1894年3月(合本版)

OUTING AN ILLUSTRATED MONTHLY MAGAZINE OF SPORT, TRAVEL AND RECREATION. VOL. XXIII. OCTOBER, 1893—MARCH, 1894. 

113頁、

今日、日本は国家の歴史において前例のない時代である。因習と進歩の中間の位置にある。日本の国民は、古い習慣を捨てて新しい習慣を取り入れることに努めており、この驚くべき移行の時代は、おそらく、賢明な観光客にとって、日本を訪れる際の最も興味深いところである。今の日本は二度と見られないかもしれない。しかし、数年後には、絵のように美しい民族衣装と風変わりな習慣は、より近代的な事物の流入により一掃され、失われるだろう。この国は見栄えが良いが、半ヨーロッパ風の建築物が点在する魅力的な場所になるだろうか。それとも、ブロードクロスとシルクのタイル、あるいは「ワース風」の帽子をかぶった若い日本人は、シルクとサテンの優雅な衣装を着て、昔ながらの扇子をあおいでいるだろうか?

外国人に対する制限は、近年大幅に緩和されたが、決して廃止されたわけではない。現在、ヨーロッパ人は、パスポートなしで、東京、横浜、神戸、長崎、大阪、函館、新潟の条約港を訪問または居住できる。条約の境界外にある名所を訪問するために必要な許可は、訪問者の国籍の領事館を通じて適切な申請をすれば取得できる。

横浜は外国の影響をあまりにも強く受けているため、数日以上滞在しても訪問者にとって特別な関心を引くものではない。かつて江戸と呼ばれていた東京は、横浜から 18 マイル離れており、外国の痕跡を多く残しているが、大きくて忙しい都市であり、特別な魅力を数多く備えている。芝の増上寺、美しい上野公園、浅草寺、日本の伝統的な建築様式が残る商店や典型的な日本の街は、どれも時間を十分に満たしてくれる。日光は、寺、神社、東照宮、華厳ノ滝、小川、そして魅力的な森の風景に恵まれ、訪れる人を必ず楽しませてくれる。日光からすぐ行ける距離には、聖なる山「男体山」、中禅寺湖、そして天然温泉の湯元もある。東京から南には、景色や寺院が密集していることで有名な小さな場所がたくさんある。その中でも、かつては日本の北東の首都であったが、今では小さな村に過ぎない鎌倉には、鶴岡八幡宮と云う大きな興味深い神社があり、その近くには有名な青銅の大仏がある。さらに南には横須賀があり、日本海軍本部と兵器廠の所在地で、近くには有名な英国人パイロット、ウィリアム・アダムスの墓がある。標高 4,000 フィートの神聖な山、大山は、登る苦労の報酬として、素晴らしい紅葉、見晴らしの良い景色、いくつかの寺院、そして一連の渓流を見せてくれる。数マイル南には国府津があり、美しい箱根の山々、温泉、芦ノ湖に着く地点であり、多くの観光を楽しむのに便利な地域である。国府津から鉄道は実に印象的な風景を横切り、雄大な富士山の麓に近い御殿場まで行くことができる。そこから神聖な山に登ることができる。

沿岸の蒸気船サービスにより、絵のように美しい島々、湾、水路にアクセスでき、想像できる最も美しい景色のいくつかがこのようにして明らかになる。世界で最も注目すべき航海の一つは、神戸と長崎の間の壮大な「瀬戸内海」を通る航海である。船は、頭上に雲ひとつない空のように澄み切った青い海の中を、陸地とほとんど隔てられた水路に沿って進む。目にする魚や野鳥はどれも奇妙な形と色をしており、日本以外のものとは異なっている。波のない海の上で眠る大きなアオウミガメのように、島々が至るところに現れる。汽船が進むにつれて、陽光が降り注ぐ谷間は魔法のように開いたり閉じたりする。低く丸みを帯びた鮮やかな緑の丘が水辺から緩やかにそびえ立ち、遠くの山々の青いもやの中に消えていく。穏やかな空気は、この広大な海域に強い風が無いかのようにゆったりと流れる。岬が現れては消え、残された輝かしい展望の豊かさの中に次々と景色が映り、ついには夢のような美しいパノラマがすべて現れる。この趣と青葉と花の楽園では、スポーツも楽しめる。


113頁

日光 湯ノ湖 明治期
日下部金兵衛 撮影