空中自転車と水上自転車①
当時の自転車専門書として知られる「自転車術」(明治29年)には次のようにある。
近事又水上自転車、或は空中自転車の発明ありと外国新聞に散見したれども、此等は果して成功すべきものなりや否や、甚だ疑はしきものなり。
自転車の形状がある程度確立される時期になると、これをベースに色々な改良や工夫がなされていった。特にミショー型自転車が定着し、その効率よいペダルクランクによる駆動方法は、人々の夢を広げた。
人類永年の夢はなんであったか、それは自由に空を飛ぶこと、海上を歩くように移動することであった。この夢を自転車を使って実現できないか、当時の好奇心旺盛な発明家達は考えたのである。
これから紹介する自転車は、ほんの一例であるにすぎない。他の多くのものは話題にもならず消えていったのである。
・水上自転車
本日の広告にも有る通り今度水曲社にて発明製造したる水上自転車を来月一日午後一時より浅草公園旧勧工場にて乗走らせ衆人に縦覧させる由。「めざまし」明20.1.29付より
①「めざまし」明治20年1月29日