2021年2月20日土曜日

老舗さんぽ㉛

 昨日の「老舗さんぽ」は、小田原に明治期にあった「旅館、片野屋」の場所を探す。

 片野屋旅館とは、中村春吉の自転車無銭旅行(下関~東京)で湯本の福住旅館とともに登場する旅館である。小田原の老舗旅館で有名なのは弥次喜多道中記にも出てくる「古清水旅館」であったが、残念ながらすでに廃業してしまった。そもそも「片野旅館」は初めて聞く名で、そのような旅館があったことも承知していない。片野という名前では老舗の片野呉服屋(明治創業)があるが、旅館は知らない。とりあえずその呉服屋を当たってみることにした。店を訪ねると、昼飯時なので生憎店にはだれもいなかった。また出直すことにした。

 帰路、浜町にある郵便局に寄ろうと思い、「かまぼこ通り」から国道1号線の方に向かう。たまたま道路を横断しようとしていると、正面近くに自転車店があるのを発見した。いままで気が付かなかった店で、急遽立ち寄ることにした。丁度、若い店主がいて、店内を拝見させていただいた。店内には子供車から最新のビアンキのロードレーサーまで幅広いを車種が展示されていた。少し話を伺ったところ、どうやら最近の傾向としてのスポーツ車には特化せず幅広い年齢層を顧客にしたい意向のようである。店をオープンしたのは昨年で、まだ1年とのこと。産声をあげたばかりの自転車店であった。店主の年齢も平成生まれで、以前はセオサイクルなどで仕事をしていたとも話してくれた。気さくな好青年であった。小田原でも廃業する自転車店が多い中、このように若い人が店を始めるのは嬉しい限りである。30分ほどこの店に居て、その後、郵便局には寄らずに帰る。

 国道1号線沿いから自転車で狭い路地を入る。どうもこの辺りは昔の抹香町界隈のようで、小説家の川崎長太郎を思い出す。

創業1年のサイクル・ハウント
小田原市浜町1丁目11
以前は「あらき電機店」