下の絵葉書は三越の自転車隊、メッセンジャーボーイである。
三越が明治後期に始めた新しいサービスで、顧客の買った商品を配達するというもの。昨今のコロナ禍でデリバリーサービスが当たり前のようになっているが、明治40年頃の自転車を使ってのこの配達サービスは、日本では新しい試みであった。
制服制帽、白塗りの自転車、ざっと数えても整列している自転車は50台を超える。自転車のフレームをよく見ると、一見ミキスト型のような形状であるが、よく見るとトップチューブも前下がりに付いていてトラス構造のようになっている。フレームを堅牢にしていることが分かる。余計なものを取り付けていないところを見ると軽量化も図られている。自転車のメーカー名までは分からないが、宮田あたりが製造した国産車の可能性もある。
自転車での配送であるから当然近隣に限られていたと思うが、画期的なサービスであった。
右上の楕円に囲まれた写真を見ると、日本髪の女性が衣類の前に殺到している。どうやら特売日のようだ。
絵葉書全体の意匠
自転車隊の部分