2020年10月8日木曜日

自転車断郊競走

 第1回 関東自転車断郊競走

関東自転車断郊競技

この競技は、昭和12年4月27日、陸軍戸山学校野外総合コース(3㎞)で行われた。
この日、天気はあいにく雨であったが、むしろこの競技にはふさわしいコンディションであったかもしれない。
現在でもこの種のレースは、クロスカントリー、シクロクロス、ダートライド等と呼ばれ、ヨーロッパでは冬場盛んに行われている。
日刊プロスポーツ新聞社の創設者で元会長であった月岡朝太郎氏(1911年ー1984年)はこの日のレースに参加し、実用車班クラスで2位の成績をおさめた。同氏の著書である「自転車競走」に、
「然し昭和12年日支事変のぼっ発以来、自転車競技も戦時色に変化し青年学校自転車競技が盛んに行われるようになった。
・・・・また断郊競走なども行われた。これは外国では当時も現在も行っていて必ずしも戦時色とはいえないが戸山学校では軍隊が構築していた塹壕を渡らせたり、国立(くにたち)の大学校では雑木林の中を走らせたりした。勿論走るといっても途中自転車をかついだり押したりしなければならないコースが選ばれていた。(筆者が始めて自転車競走に参加したのが戸山学校で行われた第1回関東自転車断郊競走で、実用車班2位の成績であった)

記録:
実用車班
 ①11分33秒2 小出 清 (K.B.C)
②13分9秒2  月岡朝太郎(東京)

軽量車班
 ① 10分43秒 渡辺剛志(東京)
② 13分19秒2 和田弥太郎(東京)
③ 20分56秒4 小西鉑太郎 (K.B.C)

純競走車班
①9分51秒 木内良敏(東京)
②9分53秒8 古内作衛(東京)
③9分56秒8 鷲見信一(東京)

以上

この競技が開催された昭和12年と言えば本文にもあるように、まさに日本が中国との全面戦争状態に突入した年である。