昨日、小田原の老舗を自転車散歩の途中に尋ねた。
小田原市内の自転車専門店も徐々に数を減らし、いまでは数軒が営業している状況になってしまった。これは大正期よりも店数が減っている現状である。その原因の殆どは、近年に大手スーパーやディスカウントストアでの安売りが始まったことと、後継者不足にある。
大正時代の初期に営業していた、香川自転車店、瀬戸自転車店、中島自転車店などがあったが、今は無い。
サイクリングの途中に訪ねた店は野地サイクル商会といって、大正13年の創業であり、関東大震災後に始めたことになる。現在の店主は4代目に当たる。建物も何回か改装しているが躯体部分は既に80年近く経過している。店内の壁に飾ってあるブラインド生地のような素材にこの店の歴史が写真と解説付きで飾ってある。
下の②~⑤の写真がそれである。この生地も既に経年で色あせていて、ぼかしが入ったような感じになっている。
2代目の店主は自転車競技選手としても活躍したようで、④の写真には自転車と共に優勝旗も写っている。1964年の東京オリンピックの時は、競技役員もしていた。
ちょうど、私が店を訪ねた時は、アメリカ製のクルーザー型の自転車を修理していた。
忙しそうであったが、声をかけ「店内を見学してよいですか」と言ったところ、快く「どうぞ」と言ってくれた。さらに「店内の写真を撮ってもかまわないですか」と図々しくも聞いたところ、これも快諾してくれた。
写真を撮り始めて、一番関心を持ったものの一つがレトロな工具箱で、いまでも現役である。いつ頃から使っているのか質問したところ「もう80年ぐらいになる」とのこと。
まさにこれだけでも老舗である。
「次回来たときは壁にある写真のオリジナル写真をみせてください」と頼んだところ「それでは店の方に持ってきておく」とのこと、これで次回の”老舗さんぽ ”の楽しみがまた一つ増えたことになる。