2021年8月12日木曜日

自転車関係資料㊴

 自転車関係資料㊴

下の資料は1933年(昭和8年)3月1日発行の「アサヒグラフ」第20巻第9号である。

この号の中に自転車特集「浪速津の交通文化 走る下駄」があり、全部で11枚の写真が掲載されている。

以下にこの写真集の要旨のようなものが書いてある。

近來都會の街頭から兎角邪魔ものあつかひされて、大阪では堺筋乗入禁止などといふ說まで持ち上つてゐる自轉車、だがこれはタクシイやトラック側から見た話で、自轉車側からは『阿呆ぬかせ、こらわいらの……』なんと下駄だといふのだ。「下駄履いて堺筋走るが悪ー
」からう訳はござんせん。それはどちらでもかまはないことに厳正中立を聲明しておいて、さて大阪に一體どれだけの自轉車が横行――これに限っては縦走でしたネー しているのかと調べて見ると府下の總數四〇九、六七五台で東京の五三三、〇〇〇、についで愛知県と二位を争っている。で府下の世帯数七七〇、九〇〇に對しては一・七二世帯について一台だから、ザッと一軒おきに一台づつ、又人口三、五四〇、〇〇〇に割當てると七・三人について一台づつを持つてることになる。又附下の自動車數が約六、三〇〇台だから自動車1台について自轉車は六拾五台あまりといふことになる。
なるほど一台の自動車が六十五台の自轉車に囲繞されてはこれは相当以上にウルサイもんだらう。日々ウンザリするほどある交通事故の五〇%にはこのスピーディな「下駄」が登場するといふからこの点でまさに一流のスターである。

11枚の写真を順次眺めていきたい。
今回は、まず最初にお百姓さんの自転車利用実態を見たい。
以下がこの写真のキャプションである。

 田園型
さつと朝日が村をおとづれる
野らへ御出かけの百姓氏も、自轉車利用の方法を、ちゃんと会得していらつしやる
商売道具の積み方にいたつては尚自轉車の習性をチヤンと心得ていらつしやる

註、左側の田圃には稲むら(稲塚とも)、季節は冬である。朝日を浴びながら畑に向かう。右肩には鍬と熊手鍬?の2本担いている。後ろの荷台には桶が二つ、右は肥桶であるが、ここでは水桶に利用か。左の桶に柄杓が1本入れてある。
後泥除けには大きな鑑札が付けられている。番号は二一五三六とあるが、その上の丸のマークは分からない。丸の印が分かれば市町村名が判明できるのだが。


①田園型自転車

②ページ全体 11、12頁

③表紙

④自転車鑑札
岩手県川崎村と近江八幡市(未使用)